の福祉関係者とは異なり医学や精神保健、介護、看護の知識技術を有しないと資格が取得できない制度である。保健・医療の専門職に対する連携の在り方についても教育を受けている。県内でも平成9年現在4校が設置され平成8年までに515名が卒業している。県内の老人福祉施設に就職するとは限らないが特養ホーム介護職の有資格者は年々増加している。経験年数6年以上の介護職は有資格者が多いが制度ができてから資格取得に挑戦した熱心な人たちではないかと推測される。今後、有資格者の増加にともない介護職の知識、技術は確実に向上するといえる。
ターミナルケアの意識は看護職との比較で必要性を感じない介護職の割合が多かったが教育的な背景や経験年数とも関係していたことを考慮すると今後は減少すると考えられる。経験の浅い介護職に対する施設内での教育は精神的負担の軽減を図り、キァリアを重ねて定着率を高めることにつながるので検討の必要がある。
2.利用者および家族との関係と精神的負担
8年度調査の施設長からの結果ではターミナルケアを実践している施設は2割程度であったが7割の施設が利用者の葬儀を経験していた。このことから特養ホームへの入居に至る過程には家族との間で複雑な関係のあることが感じとれる。更に利用者の8割程度は痴呆の状態にあることを考えると介護職が利用者の訴えが理解できないとき、意欲に対する働きかけに困難を感じたとき、家に帰りたいという利用者の希望に家族が同意しないとき、家族からの支えが得られないときなど困っている状況が容易に理解できる。困難を感じながらもできる限り利用者と関わる姿勢が現われていた。家族に対しても他職種と協力しながら家族へのアプローチをする姿勢が見出せた。
医療の場でもターミナルケアに関わる医療従事者(医者・看護職・路床心理士など)のストレスは高い。看護婦のストレスやバーンアウトについても研究されている。本調査の質問紙作成時の参考文献によると、主に癌患者を対象にしている医療従事者215名のターミナルケアに関わるときの精神的負担について「ある」と答えたのは96.8%だった。本調査の介護職は全体の78.2%が精神的負担を感じていた。対象が異なるとは言え介護職にとってもターミナルケアは精神的な負担になっていることが示された。利用者、家族、看護職に対する困難感はストレスそのものであるともいえる。
その他の共通点は、精神的負担の要因である「対象とコミュニケーションがとれないとき」「理想と現実が食い違うとき」が同様に高い割合だった。対処方法の違いは医療従事者は「ターミナルケアの研究会に参加」「勉強会、研修に通う」という割合が高かった点である。ターミナルケアに熱心な施設は施設独自の共通方針を持つところが多くターミナル委員会なども組織され亡くなった