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告書と一致する状況であった。特養ホームは今後さらに利用者の重度化に伴い医療処置が多くなってくることが予想され日頃からの利用者の健康管理の強化、救急医療体制づくりなど深刻な問題となってくる。看護職のマンパワーの充実が望まれるところである。

ターミナルケアの質は苦痛からの解放と人間らしい看取であるかに大きく左右される。利用者は安らかな死を迎える人ばかりでなく大半は呼吸困難、食事摂取困難、昏睡、循環不全などが発生する。この状況に対し酸素吸入や吸引、バイタルサインの測定、食事摂取への援助、与薬などの医療的処置が必要となる。介護職の中にターミナルは食に対する援助が難しいと表明している人が数人いた。他には普段からの褥創予防のためのケアや排泄ケア、リネン類の衛生や安楽な寝具の提供、水分補給や身体の清潔などもターミナルケアの内容として重要と考えるという意見も複数の施設からいただいた。

看護職はターミナル期に実施される、このようなケアのモデルを他職種に提示する役割があると考える。報告書では他職種の中でも特に寮母職とのカンファレンスの実施回数が多い施設ほど協力関係が良好で利用者の終末をホームで看取ることが多くなると述べている。他機種と共にカンファレンス、勉強会、研修会などの運営などに積極的に介入していく姿勢も望まれる。

2.介護職との連携

介護職が看護職との関わりで困難を示したことは夜間、看護職が不在時の利用者の急変時対応だった。介護職の年齢、経験年数、資格の有無に関係なく看護職への夜勤の希望は高かった。施設内での死亡時刻は午前0時から深夜勤務帯が最も多いという報告がある。身の回りを整える、などの生活技術の自立能力に焦点をおいて援助する介護職にとって利用者の急性症状のケアは過大な負担である。看護職は「利用者の症状観察やケア方法の説明が不十分」という項目の回答からも両職種間のコミュニケーション不足が伺えた。

看護職の夜勤はマンパワー不足の解決を待たなければならないが施設でのターミナルケアの実践にあたっては早急に実現しなければならない課題である。殆どの施設に看護職の夜勤がない現状ではターミナルケア時の基本方針として夜間の出勤体制を協議していくことが必要と考える。

介護職と看護職とのコミュニケーション不足から生じる説明の不十分さに対しては意識的な関わりやカンファレンスを持つ機会を増やすことで困難感の改善につながると考える。

 

C.介護職の負担感について

1.介護職の背景とターミナルケアについての意識

大半の介護職は年齢が若く経験年数は少ない。資格を持つものは半数以下であった。介護福祉士は長寿社会の到来を前に新たに誕生した制度である。従来

 

 

 

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