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介護職の79.4%がターミナルケアを日頃から充実する必要性を感じていたが15.1%は「滅多に・あまり感じない」と回答した(表10)。8年度調査では看護職の91.2%が必要性を認識し「滅多に・あまり感じない」は4.3%だった。この意識を臨終経験や経験年数との関係(表11.12)から見ると経験年数や臨終に立ち会った回数の乏しい介護職に「滅多に.あまり感じない」と答えていた人の割合が多かった。

3.利用者との関係で困ること

ターミナルケア時に利用者との関係で困ったことを図3に示した。関わりたいが利用者と十分な時間が持てないことに約半数もの介護職が困難を感じていた。次いで「状態の変化の判断や介護の方法が分からない」「利用者の訴えが理解できない」で約3割の介護職が困難さを表明していた。

しかし、10歳代の若い介護職や経験年数の1年未満の人は利用者と関わる時間が持てないことよりも状態の判断や介護の方法など専門的知識、技術を要するところに困難さを感じていた。しかし、その困難さは経験年数の増加にともない減少し利用者の意欲や言動に対する、より難解なケアに困難さを感じる割合が高くなっていく傾向が示された(表13.14)。図4は困ったときの対応で54.1%の介護職は時間が持てなくても、できる限り利用者と関わる努力をしていた。次に他職種との関わりやカンファレンスを持つなどの発展的な対応をしていた。

4.家族との関係で困ること

家族との関係で困ることは「利用者は家に帰りたいが家族の同意が得られないとき」と3割が回答した(図5)。利用者が「家に帰りたい」と要求したときに22.2%の介護職がこの対応の困難さを示した。次に多かった項目は、ほぼ同率で「家族の協力がなく精神面での支えが不十分」「面会をお願いしても来所しない」などだった。家族からの協力が容易に得られない困難さが伺えた。経験年齢との関係(表15)で1年未満の介護職は「ターミナルケアの経験が無いので分からない」の回答が多く経験年齢を増すごとにターミナルケアに家族を引き入れる困難さを感じていた。対応方法で一番多いのが「寮母とのカンファレンスを持つ」、次に「家族にできるだけ関わる」「他職種とカンファレンスを持つ」の順だった。ダイレクトに家族に関わる機会の少ない状況が伺えた。

5.看護職との関係で困ること

58.6%の介護職が夜間帯看護職が不在で利用者の急変時の対応が困難であると回答した(図7)。更に3割が看護職に対し夜間勤務を希望していた。看護職は利用者の病状や観察、ケア方法の説明などが不十分だという項目が1割ほどあった。

 

 

 

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