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は普段から日常の医療処置や健康状態の把握のために業務時間の多くが占められ利用者の寂しさや不安を受け止めるためのコミュニケーション、家族の来所時の対応、手紙や電話による対応をする機会が持てないことに葛藤を感じていた。

死後の処置は介護職と共に実施する施設が多く家族からの希望があれは一緒に行ない家族が悔いを残さない配慮をしていた。

看護職の8割が利用者の危篤、臨終時に夜間帯の呼び出しを受けていた。夜間の死後の処置は介護職が行なう施設では看護職の夜間呼び出しはなかった。

利用者の死後、家族や他の利用者に対する配慮は3割が仏壇や礼拝所に写真などを置き故人を偲べる工夫をしていた。1割が家族に対し悩み事の相談を受けていた。法要など施設独自の工夫で死後も家族や他の利用者に配慮する施設もあった。

看護職がターミナルケアに取り組む上で困難と感じることは家族の意見がはっきりしない、途中で変わる、他職種(寮母・医師)との連携がとりにくい、寮母との共通理解が得られないと困難、業務に追われ心の余裕なく職員も不足などが主であった。

 

C.介護職に対するアンケート結果

51施設(85%)の介護職から725部を回収し有効回答689部(回収率62.4%)を得た。年齢、経験年数、資格の有無の無記入なもの、ターミナルケアに関する回答の不十分なものは無効とした。

1.介護職の背景

介護職の性別、年齢を表1.2に示した。男性介護職の占める割合は8年度調査の看護職と同様、調査対象の1割程度だった。年齢は10歳代〜20歳代が378名(54.8%)で過半数を占めた。

経験年数(表3)の増加に従い年齢も高くなり(表4)経験年数3年未満に10歳代〜20歳代が集中する。経験年数が6年〜25年未満は185人(26.8%)で、この層の割合は8年度調査の看護職の場合(26.3%)とほぼ同様であった。

介護福祉士有資格者は全体の4割であった(表5)。年齢、経験年数との関係(表6.7)では、年齢が高くなるにつれ有資格者の割合は減少し無資格者の占める割合は経験年数6年未満の層に多かった。

2.ターミナルケアの充実の必要性についての意識

表8は自分の勤務時間に臨終に立ち会った経験である。年齢との関係(表9)では若い年代で臨終に立ち会った経験の無い人が多く、年齢を重ねるにつれ臨終経験は増加を示していた。図1はターミナルケアを行なってきた利用者が亡くなったとき困ったことだが他の利用者への配慮や介護者自身の心の動揺が大きいことが伺えた。その時の対応は、ほとんどの介護職が同僚に助けを求めていた。(図2)。

 

 

 

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