A.施設長、看護職に対して
41施設の施設長と43施設、114名の看護職に対し施設長用と看護職用の2種類のアンケート用紙を作成し郵送法を用いた自記式調査を行なった。看護職用の質問紙は日本看護協会老人保健医療検討委員会の報告書「老人福祉施設における看護職の役割と機能」を参考に作成した。施設長に対しては施設設備、方針、死亡場所などを質問した。調査は平成8年11月13日〜12月4日に実施した。
B.介護職および寮母長に対して
県内の全ての特養ホーム62施設に予め電話にて研究の趣旨を説明し同意が得られた60施設に対して郵送法を用いた自記式調査を行なった。介護職用の質問紙はターミナルケアにおける看護婦のストレスの意識調査についての文献を参考に作成した。寮母長には利用者のケアに関わる介護職の人数、看護職の夜勤の有無、利用者に対し「最期をどのように過ごしたいか」の意志の確認方法、ターミナルケアについての共通の方針、勉強会、研修会などへの取り組みについて質問した。調査は平成9年7月29日〜8月16日に実施した。
?V.結果
A.施設設備と取り組み
41名の施設長からの回答(回収率70.7%)では平成7年度に特養ホームを死亡退所した人は328名であった。死亡場所については55%が病院で、35%が施設内死亡であった。
施設設備は7割を超す施設が仏間か礼拝所を持ち利用者が終末期に家族や親族と一緒に過ごすために付き添える個室の準備がある施設は半数以下だった。個室が無く積極的に施設内で看取ることを心掛けている所では看護婦室や静養室等を利用し「専用の部屋がなくて困る」と述べていた。死亡した利用者の葬儀の実施は施設契約のお寺や葬儀場などで7割の施設が経験していた。
ターミナルケアに対しては家族の意志を尊重しながら行なう施設が多く、本人の意思を尊重し話し合う機会を持っている施設は半数以下だった。
10施設が既にターミナルケアを試みており、模索の段階にある施設や最後は病院で迎える方針の施設、特養ホームは終末まで見届けるところではないと考える施設など様々であった。
B.看護職の役割と意識
看護職114名(回収率79.7%)の年齢構成は約7割が30歳〜40歳代に集中し勤務経験年数は3年未満が半数を占めていた。
ターミナルケアについては施設方針とは関係なく9割の看護職は「充実させる必要性」を感じていた。利用者に対し、終末期の迎え方の確認は「死を意識させることに抵抗がある」ため本人よりも家族に聞く割合が高かった。看護職