[?Y]栃木県内の特別養護老人ホームのターミナルケアに関する研究
大塚きく子 自治医科大学看護短期大学
森山 郁子 自治医科大学看護短期大学
西岡 和代 自治医科大学看護短期大学
小泉美佐子 群馬大学医学部保健学科
I.はじめに
住居と養護を提供する特別養護老人ホーム(以下、特養ホーム)を生涯の生活の場として入居を希望する老人の数は年々増加している。新ゴールドプランでは特養ホームは29万床の整備が見込まれ、在宅保健.福祉サービスにおいて地域ケアの1つの拠点として活動が期待されている。栃木県内(以下、県内)の特養ホームは平成9年度現在、62施設、3440床が整備され平成11年度までに3860床が増床予定である。急速に進む我国の高齢化に伴い住まいの推移は核家族世帯、単独世帯が年々増加している。寝たきりや痴呆性の高齢者の出現率も高まる今後は特養ホーム利用のニーズは高い。
入居以降、生涯のほとんどを過ごす特養ホームでのターミナルケアの対象は医療の場の「死の臨床」とは異なり年齢的にも心身の障害の大きさからも死に近い生活段階にある人である。そこでは人間らしい看取りが実践され特養ホームのターミナルケアを考察することは老人のターミナルケアを実践する上で重要な示唆が得られると考えた。
特養ホームのターミナルケアについて実態を踏まえた報告は少く本調査に先立ち基礎資料を得るため平成8年度に県内の特養ホームの施設長および看護職を対象にターミナルケアの取り組みの現状について実態調査(以下、8年度調査)を行なった。
本研究は、8年度調査の結果を踏まえ施設内で24時間、利用者のケアにあたる介護職を対象に利用者、家族、看護職を巡りターミナルケアを実施する上での困難さや精神的負担感を明らかにし看護職が終末期の役割を果たすため他職種との連携や特養ホームのターミナルケアを目指す上での課題を明らかにするために調査を実施した。その結果から得られた知見を報告する。
本研究でいう「特養ホームのターミナルケア」とは死の直前の援助に限らず老人がホームに入居した時点から、老人と家族や他の利用者も含めた関わりまで広い意味でとらえている。
?U.対象と方法および調査期間