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るのか調査するため,アンケートに設問を設けた。以下に,集計結果を示す。

 

1)異状死体の定義の理解(図8参照)

71%が異状死体の定義を理解していないという結果が得られた。

 

2)司法.行政解剖の違いに対する認識(図9参照)

両者の違いを認識しているのは,わずか18%であった。

 

3)行政解剖に対する予算措置の認識(図10参照)

現在,行政解剖に対してほぼ全国的に予算措置が取られていることを知っているのは,5%であり,1割に満たなかった。

 

4)異状死体の身体所見の判定(図11参照)

異状死体の身体所見のみで自信をもって死因を判断できると答えたのは,4%であり, これも1割に満たなかった。

 

5)死体の死後変化の研修(図12参照)

卒前教育だけでなく卒後教育においても死体の死後変化についての研修が必要と回答したのは,85.5%と高率である。ほとんどの卒業医師が,検死.検案を経験しており,検死・検案の重要性を認識していると思われる。

 

6)検死・検案マニュアルの必要性(図13参照)

検死・検案を行う上での具体的なマニュアルが必要と答えた人は,96.6%とアンケート回答者の大部分を占めている。

 

2.行政解剖(承諾解剖)の普及について

 

1)行政解剖の承諾について(表9参照)

へき地を含む多くの地域では監察医制度がなく,行政解剖を行う場合には,遺族の承諾が必要とされる。表9に行政解剖の承諾について調査結果をまとめてみた。「基本的に,承諾は可能。」と答えた人は,14%と最も少なく,一方「第一線では,なかなか承諾は得られないと考えられる。」という回答が55%と半数以上を占めた。なお,「自分が主治医として経過を観ていた場合なら可能。」が27.4%と4分の上を越える割合となっており,主治医として家族と良好な関係を持っていれば,承諾を得ることも可能と考えられる。ただし,逆に一度も診察をしたことがなければ,承諾を得ることは困難と思われる。

 

 

 

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