B.セラミドとFTY720のlpr自己免疫マウス脾臓細胞に対するアポトーシス誘導作用
次に同様に、in vitroでlprマウス脾臓臓細胞に対する効果を検討した。MRL/nマウスでは正常BALB/cマウスでの結果と一致しており、ステロイド剤が強いアポトーシス誘導能を有したがセラミドとFTY720ではコントロールと較べて有意な変化が認められなかった。しかしながらMRL/lrpマウスではセラミドとFTY720がステロイド剤と同等なアポトーシス誘導能を呈した(図2)。この結果から、ステロイド剤がCD4またはCD8陽性のsingle positive T細胞とDNT細胞とに対して非選択的にアポトーシスを誘導するのに対して、セラミドとFTY720はDNT細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導することが予想された。この点を明らかにするためMerocyanine540(MC540)とFITC-抗CD4+CD8抗体との2カラー解析を行った(図3)。ステロイド剤がDNT細胞のみでなくSPT細胞にもアポトーシスを誘導するのに対して、セラミドとFTY720は選択的にDNT細胞に対してアポトーシスを誘導することが確認された。
C.セラミドとFTY720のlprマウスに対する投与実験
1.生存率
図4に示すように、FTY720とセラミド(1mg/kg)投与群では非投与群と較べて有意に生存率の上昇を認めた。しかしながらセラミド(10mg/kg)投与群では生存率は非投与群とで有意差は観察されなかった。尚、FTY720とセラミド(1mg/kg)投与群とステロイド投与群とは有意差は認められなかった。
2.リンパ節でのDNT細胞の減少
FTY720投与群(DNT細胞分画:6+5のでは非投与群(69±10%)とステロイド投与群(22±10%)とで較べて明らかにDNT細胞の減少が示された(図5)。尚、データは示さないがDNT細胞の減少に一致して腫大リンパ節の縮小が観察された。
3.牌臓T細胞機能の改善
HIY720とセラミド(1mg/kg)投与群では抗CD3抗体、Con A刺激増殖能が、DNT細胞の減少とSPT細胞の増加といったT細胞subpopulationの是正化に一致して、非投与群と較べて上昇した(図6)。またIL-2産生能も改善した(図7)。以上から、FTY720とセラミド(1mg/kg)投与群ではT細胞機能の正常化が認められた。