ここが駄目な場合は、たとえ他が完璧であっても、絶対に良い写真は得られないからである。それはちょうど、どんなに良いオーディオ装置をそろえても、最終音響変換器であるスピーカーが安物だったり、駄目なものだったら、それなりの音しか出て来ないか、聞くに耐えない音しか出て来ないのと良く似ている。またはパソコンを例に取ると、最高のパソコンに最高のソフトで、最高のデータを入力し、高度な処理ができても、ディスプレイやプリンターが駄目だったら、見ることができず、結果を出せないのと同じである。
正しく管理されていれば、X線装置等の能力に見合った写真を得ることができる。
今回の訪問調査では、一部を除き診療所に適したサイズのものに保守契約を結んで使用しており、感光機材や撮影条件を工夫すれば良い写真を得られることが分かった。
アルミニウム階段によるコントラスト測定で、低い傾向を示したことについては、もしそれを改善したければ高めのコントラストを持つフィルムを使用すれば良いことであり、あまり問題とはならない。安定して現像処理できることが大切である。
B.増感紙、フィルム
訪問先の診療所では、増感紙の古さとオルソシステムの普及の遅れが目に付いた。
実は、診療所にこそ、最新のオルソシステムを導入するべきなのである。先生との話では、事務側の理解を得にくいとのことである。中には、「うちの診療所にはそんなもの、いらないだろう」と言うことで、話にならないとの実状もあった。
そこで我々は、以下の文書を作り診療所に送るとともに、JMS-NET上に公開した。また、診療所にて事務長と会えた時は、直接に伝えた。
資料 [増感紙について]
X線用フィルムはX線感光作用を持ってはいるが、透過力の強い医療用X線エネルギーにおいては、そのほとんどが吸収されることなく透過してしまうため、X線の利用率は1%程度といわれている。
そこでこのX線利用率を高めるため、X線を効率良くフィルムに適した光に変換する「増感紙」を使用している。増感紙の機能としては、
1.患者の被曝線量を大幅に低減する。
2.小容量のX線装置で撮影することができる。