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(3) 地方債の利子所得に対する非課税措置10

 

州・地方政府が起債する地方債の本質的な特徴は、投資家が得た利子所得に対して、個人の所得税あるいは法人税という形で連邦政府の租税がかからないことである。しかし、利子所得には州の所得税が課せられるかもしれない。典型的には、州政府は、それが起債した地方債を購入した地域の投資家の利子所得には課税しないが、他の州が起債した地方債の利子所得には課税する。同様に、連邦政府が起債した国債の利子所得については州政府の所得税がかからない。したがって、州・地方政府の地方債はタックス・シェルターとなっている。

非課税のおもな経済的効果は、他の同じような課税債券に比べ、州・地方政府がより安い金利で借り入れることができることである。その結果、税額控除は州・地方政府にはより安い金利での借入れを可能にするという点で、また、これら地方債を購入する投資家にはより高い利回りを約束するという点で両者を補助している。非課税の効果は、図表8-16に示されている。

 

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この例では、額面1万ドルの州・地方政府が起債した利回り年6%の地方債と、同じようなリスクで同じ満期だが利回り8%の社債を比較している。

非課税地方債を購入したある投資家が、連邦政府が課税する所得税と、州政府が課税する所得税を控除された場合には(ただし彼が起債している州に住むとして)、年間600ドルを利子所得として得る。したがって、税引き後の投資収益率は6%($600/$10,000)である。

これに比べて、課税される社債を購入した投資家の場合、年間800ドルの利子所得を得るが、連邦所得税と州所得税を納税しなければならない。納税額は、投資家の限界所得税率に依存している。限界所得税率が15%の投資家は、800ドルの利子所得に対して120ドルを所得税として納税しなければならない。したがって、彼の税引き後の投資収益は680ドル、投資収益率は6.8%($680/$10,000)となる。限界所得税率が高くなるにつれて、税引き後の投資収益率は低くなる。

ここで、tを限界所得税率、rを課税債券の名目利率とすると、ある課税債券について税引き後の投資収益は(1-t)rであらわされる。図表8-16をみると、限界所得税率が25%よりも高い投資家

 

 

 

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