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3)資本的収支のしくみ

公営企業会計には、資本的収支とよばれる長期的な資金の流れを財務処理する部分があり、収益的収支とワンセットで予算を構成している。

港湾事業の資本的収支の収入には、科目として港湾施設提供事業収入、埋立事業収入などが立てられる。港湾施設提供事業収入の内訳は、企業債、雑収入、固定資産売却代金などである。埋立事業収入の内訳は、企業債、土地売却代金、繰入金、雑収入などである。資本的収入でもっとも大きいのが、当の公営事業が埋立事業を行なっている場合、埋立事業収入のなかの企業債、土地売却代金、および繰入金である。企業債は、埋立事業費をまかなうために港湾管理者が起債した債券で、資金運用部資金や簡易保険、市中銀行から資金を借り入れる。繰入金は、地方公共団体の一般会計から繰り入れた資金である。

資本的支出においては、科目として港湾施設提供事業費、埋立事業費などが立てられる。港湾施設提供事業費の内訳は、建設改良費(荷役機械整備費、上屋倉庫整備費、受託事業費)、企業債償還金、繰延勘定支払金に分かれている。一方、埋立事業費の内訳は、埋立事業費(土地造成費、関連事業費)、出資金、繰替金、企業債償還金、企業債諸費などである。当の港湾事業が埋立事業を行なっている場合、資本的支出のなかで大きいものが、埋立事業費、企業債償還金と企業債諸費、そして港湾施設提供事業費のなかの建設改良費である。

次に、図表8-9を使って、公営事業会計の資本的収支に欠損が計上された場合を考えてみる。図表では、資本的支出が資本的収入を上まわっているため、収入のボックスに欠損が計上されている。

このとき、資本的収支の欠損は、収益的収支で生じた「損益勘定留保資金」によって補填される。また、予算の段階で見積もられていた消費税額と実際に支払った消費税額の差額である「消費税資本収支調整額」も資本的収支の欠損を補填するのに使われる。これらの補填財源は資本的収入のなかに科目として立てられることはなく、欄外に補填されたことが記載される。

通常は、次年度への繰越額をのぞいて、決算のときに資本的収入と支出が収支均衡する。しかし、

 

 

 

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