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2. 国際コンテナ貨物輸送市場のネットワーク均衡

 

(1) 海運市場均衡

 

国際海運市場は、大きく分類して、?@港湾施設を管理運営する港湾管理者および政府、?A港湾の直接利用者である外航船社(ここでは、単に船社と呼称する)、および?B船社を利用して貨物の輸出入を行なう荷主が関与している。もちろん、これ以外に、港湾サイドで市場に関与しているものとしては、港運業者(荷役業者、海貨業者らを含む)、税関、為替金融機関などがある。これらは、船社・荷主にとっては、港湾諸業務関連業と考えられるので、ここでは、管理者と一括して「政府」と呼ぶことにする。さらに、国内フィーダー輸送を行なう内航海運業者、内陸輸送業者らも関連し、これらの動きは間接的に国際海運市場を左右する要因と考えられるが、本研究の目的に照らして明示的には取り扱わない。

以下、国際海運市場における政府・船社・荷主の3者の行動と貨物の流動との関係について考える。図表7-11は、輸送市場における輸送サービスとサービスを購入する需要者および均衡フローの関係を示した図表である。図表中、Tはトランスポーテーション・システムを表わし、システムを運用する主体は、施設サービス水準を決定する政府および船便サービスレベルを決定する船社である。一方、Aは社会・経済活動システムを意味し、市場で輸送サービスを購入する需要を発生させる。図表7-11において、S=J(V|T)はサービス関数を表わし、トランスポーテーション・システムTが与件の時、システムが提供するサービスレベルSが需要量Vの関数となることを意味している。海運市場では、Tは政府が決定できる港湾施設や運営戦略、および船社の保有船籍、ターミナル基地などを意味する。また、Sは航路、運賃、便数など荷主に提供できるサービスレベルを表わし、Vは

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