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7. 米国の港湾管理制度

 

本節では、Ircha[1995]の整理にしたがって、米国の港湾管理制度について略述する。

米国には、図表6-1にみるように、様々な公共企業体の形をとる港湾管理者があり、母体となる州や自治体などの関係も様々である。港湾管理者が自治体の政策手段となるべきか相当の自主性をもつべきかにも両論があり、概して西部沿岸港に分権型が多く、東部沿岸港には集権型が多い。経営情報の開示(アカウンタビリティー)の観点からみたとき、主たる問題は、評議委員会と経営幹部間の関係にあり、評議委員会は意思決定に必要な情報をもたず、事後監査の機能をもつにとどまっている。そのため、経営幹部側に権限が集中している。主たる運営目標は、海上貿易量の最大化におかれているケースが多い。

論点となる評議委員会の性格には、以下のようなバリエーションがある。すなわち、評議委員会自体を有するか否か(大部分の港湾が有する、Sewardはなし)、評議委員の決定は任命によるのか投票によるのか(大部分は任命)、任命権者はだれか(ロサンゼルスでは市長、ロングビーチでは市幹部、マスポートでは州知事、ニューヨーク/ニュージャージーでは2州の州知事)、立法による被任命権規定の有無(サンフランシスコではあり、ポートランドではなし)、評議委員議席の荷主、港湾労働者、政党、市といった特定グループへの公式留保の有無(ミルウォーキーではあり、オークランドではなし)、投票の場合の地理的範囲(Port Huenemeでは区、タコマではより広範囲)、比例代表制などの投票方法である。評議委員会規定の他にも、監査報告、借入限度、課税権などにも港湾間で差異がある。

 

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