4ヵ国・地域の海運業の経営成果を、ここでは1つは積取量(単位: 1,000TEU)によって、また2つは積取比率(全体のなかで各国・地域の海運業が積み取った割合、単位: %)でとらえる(図表4-8参照)。一方、この成果を決定する環境要因は、日本発のコンテナ貨物量の規模と極東発のコンテナ貨物量の規模、の2つの要因であり、また戦略要因は全体市場における複合輸送率(算定方法は既述、単位: %)である。
図表4-9には、4カ国・地域の海運業の積取量を説明する3要因の作用が掲げられている。これをみると、米国船社と西欧船社の間の環境適応はまさに対照的である。米国船社は日本発貨物のほうに優位をもつのに対し、西欧船社は極東発貨物のほうで勢力を維持している。しかも、ともに戦略要因である複合輸送についてはほぼ同レベルの機能が認められる。米国船社が日本発貨物に強みを発揮するのは、対米物流の仕向国として取引上の優位をもつから、むしろ当然の結果であるとしても、西欧船社が三国間航路の日本・極東/北米の市場での地位を確保していることには注目する必要があろう。