フォワーダー取扱量のコンテナ貨物量弾力性はアジア向け物流において最も高く、北米向けが最も低くなっている。アジア向物流では、コンテナ貨物量の成長を50%も上まわる程度にフォワーダーの活動が発生している。その基礎には、日本製造業のアジア向け直接投資の増大に伴って発生する、日本からの部品・付属品や完成品の移動があることは間違いのない事実である。しかし、対欧物流においても、フォワーダー業のコンテナ貨物弾力性は、対アジア物流とほぼ同様のレベルにある。対欧物流が対アジア物流と同様のコンテナ貨物弾力性をもつのは、両仕向地向物流におけるフォワーダー業の活動に何らかの共通性があるためではないかと推論されよう。
これに対して対米物流におけるフォワーダー業は、コンテナ貨物の発生に対して、アジア向け物流に比して、その約40%程度の刺激を受け取っているにすぎない。対米物流は、対アジア物流や対欧物流に比べて、物としてのコンテナ貨物よりはむしろその他の要因、すなわちシステムとか制度にかかわる複合輸送のほうにかなりの関心が集まっているとみられる。図表4-7でこれをみると、対米物流においてのみ、シーアンドエア複合輸送と対米複合輸送の2要因が同時にフォワーダーの行動を促進している。
ところで3大仕向地別のシーアンドエア複合輸送9の中心は対欧物流において発生している。その割合は次第に低下しているとはいえ、なお80%近いシェアを有している。それにもかかわらず、対欧シーアンドエア輸送は、フォワーダーの対米物流戦略と基本的には同じ程度の作用をもっているにすぎない(図表4-7参照)。アジアへのシーアンドエア輸送に至っては、フォワーダーの対アジア物流行動にとってマイナスの作用をさえ与えている。明らかにシェアの割には、対米シーアンドエア複合輸送のもつフォワーダー行動の喚起力は突出している。その大きな理由は、対欧シーアンドエア物流の75〜85%は北米経由のルートを通るようにシステム設計されていることにあると思われる。対欧シーアンドエア輸送は、そのために対米物流にかかわるフォワーダーの行動に従うのであろう。
注9 データは運輸省総務審議官監修『日本物流年鑑』による。なお、『その他地域向輸送』はすべてアジア向け輸送として取り扱う。