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(2) 日本のフォワーダーの仕向地別戦略比較

 

1)フォワーダーの位置づけ

 

わが国のフォワーダーの国際海運貨物の取扱量は、対アジアコンテナ貨物物流の30%近くにまで達している。次いでフォワーダーの支配力は対欧物流に及び、対米ルートへの影響は最も低いレベルにある(図表4-6)。フォワーダーのアジアにおける活動を支えるのは、FCLカーゴに加えてLCLカーゴを数多く取り扱っていることである。1994年の対アジア物流のLCLカーゴは、対米物流の約3倍、対欧物流の約3.5倍にも及んでいる5

フォワーダーは、よく指摘されているように運送人と荷主という二重の顔をもつ。コンテナ貨物の荷主に対してはフォワーダーは運送人としてFCLカーゴやコンテナ1個に満たないLCLカーゴの運送を引き受ける。その場合、荷主が直接船会社と交渉してえられるよりも低い運賃がフォワーダーによって提示される。その仕組みは、フォワーダーがLCLカーゴを混載して多数のFCLカーゴに仕立て、それに本来のFCLカーゴをも加えて、運送人である同盟あるいは盟外の海運企業との取引に際しては、巨大な荷主として行動することにある。そのためフォワーダーは貨物輸送契約においては、サービスコントラクトやタイムボリュームレートによって、巨大荷主として大幅な割引運賃の適用を受ける?@このようにフォワーダーは、みずから運送人となって本来の荷主との間で結ぶ低い運賃と、みずから荷主となって本来の運送人との間で結ぶ大幅な割引運賃との間の差額を得ることを業務とする。

アジア地域仕向貨物においてフォワーダーの活動の余地が大きいのは、日本とアジアを結ぶ製造業のロジスティクス戦略が、日本からの部品の調達を小口輸送によって遂行しているためである。アジアに進出した日本の現地法人の調達活動を重視する戦略展開6が、フォワーダーの行動を支えている。

フォワーダーの活動は、91年を境にして、これらの主要3仕向地のいずれであっても大幅に増加している。

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