一方、TSA戦略の効果は0.67〜1.29の間で変動している。その効果の四半期平均値は0.929倍である。また図示した20四半期中において運賃水準に対する効果が1.0倍を超え、TSA戦略が運賃上昇のプラスの効果を生んだのは6四半期にとどまっている。したがって、TSA戦略は94年までの考察に関する限りは、顕著な運賃水準上昇効果を生んでいるとはいえない。その原因は、TSA戦略が操業度の上昇を通じて運賃水準の上昇を図ろうとする場合、同時に集中度を通ずる作用をマイナスに転換し、これが運賃水準の引下げをもたらすことにある。
このようにTSA戦略がサプライサイド側から運賃水準に及ぼす影響には、操業度を通ずるプラス効果と集中度を通ずるマイナス効果が相殺し合う部分が存在する。その意味において、TSA戦略は両刃の剣である。