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極端に低く、約1/10のレベルにあることが注目される。港湾サービスによる輸入物流の喚起をほとんど期待しえない状況にあるなかで、中国からの輸入物流に関しては異常に高いレベルにとどまっている。神戸港と中国の間の物流ネットワークにはみるべきものがある。

同表によりながら、神戸港と大阪港の輸入物流への対応を比較すると、神戸港の輸入物流を決定する4つの経済要因(直接投資、経済成長、為替相場率、卸売物価比率)のもつ物流喚起力は、大阪港の60〜70%のレベルにとどまっている。これは輸入物流の喚起力に関しては、神戸港は大阪港に比べてかなり劣位な状況にあることを示すものである。

ところで、コンテナ化率でとらえた港湾要因のもつ物流喚起力では、大阪港はマイナスの作用を担っている。神戸港でもすでに上にふれたようにこの作用は極端に低いレベルにあった。つまり輸入物流についての港湾要因は、輸出とは異なり信頼度は非常に低く、かつ極めて不安定な作用しかもたない。輸入物流については、港湾要因より経済要因が作用しているため、大阪港背後の経済圏と神戸港背後の経済圏のもつ経済力の差が物流に反映されている。例外は、神戸港への中国からの輸入物流である。

最後に、港湾物流集中度の輸入物流への作用について神戸港と大阪港を比べると、前者の物流弾力性が2.30であるのに対し後者のものは-2.284であり、まさに対照的な状況にあることがわかる。神戸港の港湾物流集中度のほうをここでは集中度要因として考えているので、神戸港の全国的地位が低下するにつれて、神戸の輸入物流量が減少するのはある意味では合理的である。しかし、大阪港ではこのような神戸港の危機は逆に飛躍のチャンスとしてとらえられているのである。

 

 

 

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