この場合、調達とは仕入れのことであるから、上の式の右辺において一般に調達活動が盛んになれば、左辺の分母が増加する結果、販売活動に変化がないとすれば、売上高・仕入比率は逆に減少する。つまり調達活動と売上高・仕入比率の間には負の因果関係が成立する。日本のアジア現地法人について1987から94年にわたる調達ネットワークの作用を弾力性で表示した図表3-8において、ほとんどのケースにおいてマイナスの符号をとっており、これは理論的に適正である。
しかしながら図表3-8において繊維業の調達ネットワークの作用はすべてプラスである。これは繊維に関しては調達の増加以上に販売が増加していること、あるいは最適の調達拠点と販売拠点を求めて極めて身軽に行動しうる環境がアジアに存在することを示唆するものである。世界繊維市場をヨーロッパと二分するアジア繊維市場の特徴はまさにここにあると思われる。
一方、一般機械については日本からの調達ネットワークは、1990年まではプラスに作用しているが、91年以降は-0.666の弾力性を示し、マイナスの作用へと転換している。日本からの調達をベースに販売を増加するという図式は、すでに限界に達している。今後は、マイナスの程度の低い現地調達をできるだけ増加する必要に迫られている。