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物的戦略とは、設備を大きくしてコンテナ船を導入し、またLCL貨物をFCL化することをいう。場所的戦略とは、ハブポートとフィーダーポートをネットワーク化していくものである。時間的戦略とは、国際的JITシステムを確立するためにキャリアとして定曜日サービスの導入を図ろうとして、ダブルスタックトレインの導入、デポの拡充やキャリアのアライアンスに基づく超大型コンテナ船の導入を目指すことをいう。これらの3つの戦略は、キャリアが独自の考えのもとで導入しうるサービスに基づく戦略であるから、国際複合輸送において物流業によって提供される最大公約数的戦略である。

これに対して現在問われているのは、このキャリア型戦略をさらに押し進めたカスタマー志向の対荷主戦略の構築であり、これはネットワークの多様化という戦略内容をもっている。すなわちキャリアが提供する物流サービスメニューをいかに組み合わせて、個別にいかにして荷主のカスタマーズサティスファクションを図っていくのかが、いま物流業の直面している課題である。もちろんこの問題は、キャリアのなかの物流事業部あるいは物流グループなどで取り扱うことはできるけれども、基本的にはフォワーダーと呼ばれる業種の戦略のなかで解決されなければならないのである。現に展開され、また今後も継続するであろう第3世代の物流業の戦略は、まさにこのオーダーメイドのフォワーダー型戦略が中心になっていく必要がある。

 

注11 宮下國生『日本の国際物流システム』45ページ、表1-5参照。

 

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