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4. 繊維産業の動向と今後の課題

 

(1) 繊維産業の現状

 

1) 繊維産業のとらえ方

繊維産業は、今や衣料分野に限らず、他の用途・分野とも深いかかわりをもっている。具体的には、カーテンやカーペットなどの家庭・インテリア分野や、不織布・自動車のタイヤコードシートなど産業資材分野においても大きな役割を果たしている。それぞれの分野における繊維消費量の構成比をみると、衣料分野が30%、家庭・インテリア分野が29%、産業資材分野が41%となっており、最近では新製品の開発や繊維製品の用途多様化に伴い、家庭・インテリア分野、産業資材分野の比率が高まってきている(図表2-15)。

 

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繊維産業は、糸、織物、染色、縫製など多くの製造工程に分かれているため、「繊維産業」という言葉のさすところも時によって異なる場合がある。日本標準産業分類によると、繊維産業は紡績や織布等中間素材の製造業である「繊維工業」と、衣服・その他繊維二次製品および履き物・帽子製造業である「衣服・身の回り品製造業」の2つに分けられる。レーヨンやナイロン、ポリエステル、アクリルなどを製造する「化学繊維製造業」は先の標準産業分類では化学工業に分類されている9

 

注9 このように「繊維産業」といっても使い方によってかなり意味が違ってくるが、拙稿では、日本標準産業分類でいう「繊維工業」と「衣服・身の回り品製造業」に「化学繊維製造業」を加え「繊維産業」とする。

 

2) 繊維産業の現状(概観)

繊維産業の特色の一つは、化学繊維工業のような例外はあるものの、一般的には労働集約的で投下資本が小さいことである。さらに繊維産業は、衣食住の一つであるという生活に不可欠な資材を提供する基礎的な産業であることから、各国の工業化の初期段階に発達する産業であり、歴史的に繊維産業が牽引車となって工業化が進められてきた国が多い。

 

 

 

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