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3) 複合一貫輸送の多様化

荷主企業の国際化に対応し、フォワーダー企業の多くはみずからも海外に進出し、海外ネットワークを拡大している。フォワーダーは、荷主企業の製品輸入に対応した輸入混載サービス、三国間物流サービス、流通加工、保管、在庫管理などを組み込んだ総合的な物流サービス、複数納入業者からの貨物をコンテナ単位に仕立てるバイヤーズ・コンソリデーションなど、様々なサービスを開発し、提供している。

 

(3) 荷主ニーズヘの港湾の対応方向

 

在来荷役が行なわれた時代には、国際貨物の陸上輸送距離は短く、荷主企業は最寄りの港湾を利用する傾向にあった。港湾は、後背地域をみずからの背後圏としてとらえ、背後圏の貨物が当然最寄り港湾を利用することを前提としてきたように思われる。このような時代には、港湾間競争という概念は乏しく、背後圏の荷主はむしろ「囚われの荷主」としてとらえられていたのかもしれない。

しかし、現在では、コンテナリゼーションにより、荷主の港湾選択の幅は拡大しており、「大競争の時代」を迎えている。荷主企業は、グローバルロジスティクスの構成要素として港湾物流をとらえ、みずからのニーズにあった港湾サービスを求めるようになっている。今後も、港湾サービスの質や費用を比較しながら、港湾を選択する傾向はさらに強まると思われる。

日本の港湾は、このような変化に対応するため、インフラ整備、施設運用、国内輸送部分の効率化などの面で改善が求められており、早急な対応が求められている。

 

1) 輸入関連インフラの整備

これまで日本の港湾施設は、加工貿易に対応した原材料輸入・製品輸出型の港湾整備が行なわれてきた。輸出とは流動特性の異なる輸入貨物の急増によって、港湾インフラ面での不適合が生じている。このことは日米構造問題協議においても、輸入障壁として指摘され、日本政府は「空港、港湾などの輸入インフラの整備を通じ、輸入貨物の流通の迅速化、低廉化を図る」こととなり、外貿コンテナターミナル・大型多目的外貿ターミナルの整備などの対応策がとられてきた。

製品輸入では、通過型の輸出貨物と異なり、検疫、通関などでターミナル地区での滞留時間が長く、検査・検品、流通加工、包装などの処理が必要である。食品まで含めれば、コールドチェーンの維持、燻蒸、二次仕分けなどの機能も必要である。輸入に必要な総合的機能を整備するため、保管・荷さばき施設、流通加工、配送機能、展示施設、通関。検疫機能などを備えた総合輸入ターミナルの整備が東京、大阪、名古屋などで進められている。

また、輸入の円滑化を図るため、輸入促進高度化施設に対する支援措置などの規定を含む輸入促進地域(FAZ)が設けられている。1997年7月現在、全国22カ所が指定を受けており、これらを活用した施設整備が進められている。関西では大阪港でアジア太平洋トレードセンター(ATC)、大阪ワールドトレードセンター(WTC)、神戸港で神戸航空貨物ターミナル(K-ACT)、神戸冷蔵倉庫団地などが指定を受けており、これらの施設を活用した国際物流の効率化が期待されている。

 

2) 低コスト化

日本の港湾料金、港湾運送料金などは、諸外国と比べかなり高いことが指摘されている。運輸省調査によれば、日本の港湾のコンテナ取り扱いコストは世界主要港で最高である。高コストは、アジアのハブ港湾競争をめぐる競争で不利にたたされる原因ともなっている。

 

 

 

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