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調査結果として示された日本企業のオペレーショナル指向は、一般的なイメージと合致するものであるが、サプライチェーンマネジメントの概念の浸透度がこのように違う国の間で実施した調査であるだけに、慎重に取り扱う必要がある。しかしながら、このような種類の国際比較調査は、あまり見当たらず、貴重なものであることは確かである。今後、同種の調査が継続されることを期待したい。

 

3. 物流ニーズ高度化の港湾への影響

 

以上のように、日本の荷主企業の国際物流ニーズは高度化しており、物流管理はグローバルロジスティクス、サプライチェーンマネジメントヘと進化している。また、既存研究によれば、日本企業のグローバルロジスティクスでは柔軟性が必要とされ、サプライチェーンマネジメントでは組織間統合でオペレーショナルな計画が重視され、実行計画や物理的なプロセス改善が重視されるという特徴が示されている。

このような国際的にみて特徴的な性格をもつ荷主企業の国際物流ニーズに対し、日本の港湾はどのように対応していく必要があるのであろうか。本節では、荷主ニーズと物流管理の高度化に対し、現在港湾にどのような対応が求められているか、その方向性を示すこととする。

 

(1) 港湾取扱貨物の変化

 

日本企業の国際化によって、日本の貿易構造は大きく変化している。日本企業の海外展開が本格化し、海外での生産が増加するにつれ、輸入の量的拡大が続いている。輸入増で著しいのは、製品類の増加である。輸入上位品目の推移をみると、1980年には原油、木材、石油製品、非鉄金属などの原燃料が上位を占め、繊維製品がようやく10位を占めるのみであった。その後、原燃料の比率が大幅に低下する一方、事務用機器、自動車など製品の輸入増加が続いており、95年には2位に繊維製品、4位に事務用機器、5位に半導体等電子部品、7位に自動車というように、製品類が4品目入っている(図表1-4)。

これら製品類の輸入急増によって、製品輸入比率は、ほぼ一貫して増加を続けている。95年には59.1%に達し、過去最高を記録している(図表1-5)。

なお、製品類は、SITC(Standard International Trade Classification)の5類から9類までと定義される。食品が除かれる半面、工業用原材料などが含まれるため、一般に感じられるよりも高めの数字になるといわれているが、指数としては有効と考えられる。

 

(2) ロジスティクス指向に対応した物流サービスの増大

 

すでにみたとおり、日本企業の国際物流ニーズは高度化しており、ロジスティクス指向が高まっている。さらに最近ではサプライチェーンマネジメントに基づき組織間においても物流を効率化しようとする動きがみられる。荷主企業のなかには、OHQ、IPOを設置し、これらを通じた国際的なジャスト・イン・タイム物流体制を構築しようとするものが増えている。

このような物流ニーズに対応して、物流サービスでは、定曜日コンテナ輸送サービスの増大、航空化率の上昇、複合輸送の多様化などが生じている。

 

 

 

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