サプライチェーン(Supply Chain)は、原材料の調達から生産、販売に至る統合化された効率的なものの流れのことである。さらに広く、商品の価値がなくなり廃棄・回収されるまでを含めた商品ライフサイクルすべてを対象とする場合もある。
サプライチェーンマネジメントは、サプライチェーンをトータルとして効率的に管理しようとする考え方である。したがって、商品の供給に関係するすべての企業が関係することになる。
サプライチェーンの機能は、これまで日本では、通常、メーカー、卸売業者、小売業者によって分担されてきた。小売業者は販売計画に基づいて卸売業者に発注する。同様に卸売業者は、小売業者ヘの出荷量をみながら自社の販売計画に基づいて製造業者に発注する。製造業者は、過去の出荷量や自社の生産計画に基づいて生産を行なう。このようにして、それぞれの立場で欠品をおこさず最小の在庫を確保するように効率化を行なっている。
しかしながら、個別企業の立場からだけでは、サプライチェーン全体の効率化を行なうことはできない。小売業者の実需情報は、卸売業者や製造業者には伝わっておらず、それぞれの立場で販売。製造計画を立てれば過剰な在庫や品切れが生ずる可能性が高い。独立した企業間の取引では、駆引きによって自社に有利な取り決めを結ぼうとすることにより、全体的な効率が低下する場合も多い。
サプライチェーンマネジメントでは、小売業者の実需情報をもとにサプライチェーン全体の効率化を行なおうとする。これらの異なる流通段階にある企業が、共通の戦略のもとに実態としてあたかも単一の組織のように連携して統合されれば、サプライチェーンの途中に大量の在庫をもつことなく、より低コストで消費者ニーズを満たすことができる。
サプライチェーンマネジメントは、参加企業が独立しており対等の立場にある点で、従来の系列型の流通経路とは異なる。系列型の流通経路では、チャネルリーダーとなる企業があり、その企業の戦略に基づいて流通経路の管理が行なわれている。伝統的なチャネルリーダーは多くの場合、製造業者であり、自社系列の販社や特約店を通じて、自社の製品のみを販売してきた。このため、製造業者の利益が優先され、見込み生産により大量生産した商品を流通経路に押し込むケースがみられた。高度成長期には適合していたこの系列型流通経路も、安定成長期には流通経路に過剰在庫を発生させる危険性が高まった。このため伝統的な系列型流通経路においても、サプライチェーンマネジメントの考え方を取り入れ、情報システムを導入することにより市場の多様化に対応しようとしている。