・クローナー(模倣者、分枝系者)
・バロン(大立者)
・アウトリーチャー(遠隔操縦、外延者)
の5類型が抽出された。それぞれの名称は、類型ごとの特徴からCooperが付けたものであり、絶対的なものではない。
「インベーダー」は、調達をおもに本国から行ない、組立のみ現地で行なう企業によって構成されている。現地の輸入規制をすり抜けて侵入することから、このような名称が付けられている。この類型は、現地組立工場がスクリュードライバー型として政治問題化することになり、通常は維持不可能になる。日本企業は1970〜80年代にこのタイプの国際化を行なったが、いずれも現地で問題となり次の類型のセトラーヘと移行していった。
「セトラー」は、調達を進出した地域から行ない、生産も複数国で行なうグループである。現地調達を拡大し、進出地域への定住が図られることから、この名称が付けられている。初期段階では、重要部品を本国から調達し、現地では低付加価値部品を調達する。たとえば自動車産業では、エンジンを本国から輸入し、シートやプラスチック製品を現地調達していた。現地での部品産業の成長とともに、徐々に重要部品も現地調達に切り替えられ、定住度が高まっていくことになる。多くの日本企業は、インベーダーからセトラーヘ移行してきたと指摘されている。
「クローナー」は、製品の特性上、グローバル規模での調達や生産が不必要な類型である。中核となる技術が輸入され、それを複写したり希釈することにより生産を行なうため、遺伝子のクローン操作との類似からこのように名付けられている。例示として清涼飲料メーカーがあげられているが、この場合、原液のみ輸入し、現地で調達した水や缶を使って生産している。この類型では、調達、生産は極めてローカル化しており、あまり輸出入はない。おもに技術の輸入が行なわれる。
「バロン」は、調達を国内に限定し、生産も国内の主要工場に集中化する類型である。生産を国内に集中することによって管理上のメリットを享受しており、おもに輸出を主体としている。国内の圧倒的な生産・調達優位性を誇っていることから、大立者と名付けているように思われる。例として西ドイツ自動車メーカーと日本の大手家電メーカーがあげられており、両者は国内調達と国内生産に集中し、輸出に特化していると指摘している。しかし、この日本の大手家電メーカーは、従来は国内生産を主体としていたが、最近では日本の同業他社と同様に、近年急速に海外生産を拡大しており、セトラーに移行しているものと思われる。
「アウトリーチャー」は、世界から部品を調達し、世界の1カ所で技術面で高度に熟練した労働力に依存して集中生産する企業の類型である。そのため、輸出・輸入とも重要な活動として位置づけられている。生産拠点が1カ所で、世界のあらゆる地域から優れた部品を調達し、調達範囲が外に延びていることから、このように名づけられている。この類型の例示としては、スーパーコンピュータメーカー、航空機メーカーがあげられている。
グローバルロジスティクス・システムを管理するうえで、すべての類型において、情報ネットワークが共通したキーポイントとして指摘されている。その他、キーポイントとして、以上の類型ごとに次の点が指摘されている。
・技術の伝達
・協力
・柔軟性
技術の伝達は、クローナーでとくに重要とされる。手本となる技術、手法を各地域に行き渡らせる