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7) 書類作成活動

国際物流では、様々な貿易関係書類の作成が必要である。貿易関係書類は、その用途によって輸送、税関、保険、決済に分類できる。

輸送関連では、利用する輸送機関によって、船荷証券(B/L)、航空貨物運送状(AWB)、複合運送証券(Combined Transport Document)が必要である。このうち船荷証券と複合運送証券は、それぞれ船社、複合運送人が発行する有価証券であり、運送人が重要な役割を担っている。

税関関連では、船積依頼書(シッピング・インストラクション)、インボイス、パッキングリストのほか、価格、品目によっては、輸出報告書、輸出承認証、輸出検査証、原産地証明書などが必要である。荷主は、これらの書類を通関業者に渡し、通関手続きを依頼する。

国内物流と比べてリスクが大きい国際物流では、保険の付保が一般的である。船積みする貨物の明細や船舶が決定した時点で、荷主は保険申込書を作成して保険会社に申し込む。

売主と買主が遠隔地にある国際物流では、代金決済を確実に行なうため、荷為替決済や信用状決済が採用される場合が多い。荷為替決済では、売主が為替手形を作成し、運送証券、保険証券を使う決済方法である。信用状決済では、さらに買主が開設する商業信用状により、代金支払いの信用を確認する段階が付け加わる。

 

8) 物流管理による諸活動の統合

以上のように国際物流の諸活動は多岐にわたり、専門化された活動が多く含まれている。活動主体についても、荷主みずからが活動を行なう以外に、キャリア、フォワーダー、倉庫業、梱包業、通関業など、多くの事業者によるサービスが提供されている。

これら単独の活動を効率化することは、他の活動に影響を及ぼさない限りは有効である。たとえば、輸送活動では、コンテナ1本単位に満たない貨物をコンテナ単位にまとめて効率的に輸送したり、航空貨物輸送から海上輸送に転換することは、基本的な物流合理化手法である。同様に、保管活動では、規模の経済を享受するため大型倉庫に集約することなどがあげられる。

しかしながら、単独の活動を効率化することが物の流れ全体の効率化に反する場合がある。たとえばコンテナ単位にまとめることは輸送費用を低減するうえでは効果的であるが、その間の保管費用や品切れ損失などを考慮に入れれば、むしろ総費用は増加する可能性がある。

物流管理は、このようなトレードオフの関係を考慮するうえで重要である。物流は、「生産の段階から消費または利用に至るまでの財貨の移動および取扱いを管理すること」(アメリカマーケティング協会)と定義されるように、諸活動の単なる合成ではなく、トレードオフを考慮した統合システムである。

国際的な物の流れのなかでの物流管理の有効性は、航空貨物輸送の本格化によって一般的に広まってきた。航空貨物輸送を利用すると、商品の注文を受けてから納入するまでのリードタイムが大幅に短縮される。たとえば日本から欧州向け輸出の場合には、海上輸送では約1カ月かかるのに対し、航空貨物輸送では通関時間も含めて数日間に短縮される。これによって、リードタイム中の商品の需要変動を考慮した在庫量が削減されるなど保管費用が大幅に削減される。このようにして物流に要する費用をすべて考慮に入れるトータルコスト分析が広まることになった。

トータルコスト分析は、物流業者が複合一貫輸送サービスを拡大するにつれ、適合しやすくなり、

 

 

 

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