コンテナの導入により、個品の包装は簡易化される傾向にあるものの、なおも国際物流では包装活動が重要である。国際物流では、国内物流で利用されるものよりも保護性の高いダンボール箱、木箱、木枠などが利用されている。包装廃棄物規制の厳しいドイツ向けなどについては、現地規制に適合した資材の使用や包装材の回収にも注意する必要がある。包装には、適切な輸送、荷役が行なわれるように、輸出用マーキングを行なうことも必要である。
適切な包装を行なう責任は、輸出者にあるが、倉庫部門や輸送部門に設けられた専門部署が担当している場合が多い。また、フォワーダーや梱包業者に実際の包装業務を委託する荷主企業もある。
3) 保管、流通加工活動
国際物流の保管活動では、輸出入手続きや船積み、積み替えなどのため、国内物流と比べ滞留時間が長いことが特徴である。
とくに輸入では、国内の基準、仕様に合致させるため、検品、仕分け、小分け作業、ラベル貼りなどの流通加工活動が求められ、滞留時間が長くなる傾向にある。このことは、従来のように保管活動だけでなく、流通加工を同時に行なえるような複合型の機能が求められていることを意味する。製品輸入の拡大に伴い、これまでの輸出主体の比較的滞留時間が短く単機能的な倉庫から、複合型の施設が求められるようになったのである。
保管活動は、荷主が自家用倉庫を利用する場合と営業用倉庫を利用する場合がある。流通加工活動についても、荷主が行なう場合とフォワーダーなどの事業者を利用する場合とがある。現在では、本業と無関係なこれらの活動については、物流専門業者を利用する傾向が高まっている。
4) 荷役活動
荷役活動は、輸送、保管に付随して発生する。国際物流での荷役は、コンテナ化の進展によって大幅に効率化された。規格化されたコンテナの荷役を前提として、ガントリークレーン、ストラドルキャリアなど、効率的な大型荷役設備を整備することが可能になった。船舶からの貨物の積み下ろし時間は、在来船時代には1、2週間要していたが、コンテナ船への移行によって半日から1日程度にまで短縮された。
港湾地域内での荷役活動は、専用の荷役施設、機械を保有する港湾運送事業者が行なう場合が一般的である。港湾運送事業への参入は、厳しい免許制が採用されているが、需給調整の廃止を含んだ許可制へ移行し、料金制度の規制を緩和する方針を運輸省は打ち出している。
5) 物流情報活動
在庫、輸送などの物流管理にかかわる荷主企業の物流情報システムは、国内にとどまらず国際的に拡大している。電気機械、自動車産業などでは、国内外の生産・販売拠点間を結び、生産、販売情報の共有化、国際的な部品、原材料の調達の合理化などを進めている企業も増えている。
これらの産業では、国際物流システムのなかで情報システムを重要な構成要素として位置づけている。在庫、輸送などにかかわる物流情報は、実際の物流活動を効率的に行なううえで重要であり、各企業はできるだけリアルタイムに近い物流情報が得られるシステムの導入を進めている。