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地域内の製造会社と販売会社をリンクさせることにより製販一体化を進めている。

IPOの設立は、国際物流の合理化に直結している。IPOを通じた調達物流では、部品の大量調達により低コスト化を進める一方、部品、資材の受入れ、保管、梱包、出荷などの合理化が進められている。販売物流でも、アジア地域各工場の製品を集中保管し、仕向け地別に出荷することにより、在庫の削減、品揃えの拡充が図られている。また、IPOに加工施設を併設することにより、アジア各地で作られたコンポーネントを組み立てて再輸出するなど、加工機能を整備するメーカーもある。

OHQ、IPOに代表されるグローバル戦略には、国際的な情報システムの構築が不可欠である。販売会社の販売計画システム、製造事業本部の生産計画システム、各工場の生産出荷管理システムを結合し、世界を結ぶ統合情報システムの構築を目指すメーカーもみられる。このような統合情報システムでは、物流部門の受注、在庫管理、通関、貨物追跡を管理するシステムが重要な構成要素となっている。

グローバル企業の物流ニーズは、各地域の最適化ではなく地球規模での全体最適化にあるため、物流事業者においてもグローバル化が必要である。IPOにおける物流をとっても、IPOが設置された国だけではなく、その周辺諸国への物流ネットワークが不可欠であり、トラック輸送や海上輸送、航空貨物輸送など、様々な輸送サービスを提供する能力が求められる。さらに、在庫管理、通関、保税、輸送、流通加工など、様々な能力が必要である。一部のフォワーダーや航空貨物輸送業者は、パーツバンクなどのサービスにより、このような物流ニーズに対応し始めている。

 

3) 物流業務のアウトソーシング

企業のグローバル化が進むにつれ、競争は地球規模に拡大するようになった。消費者の低価格志向が強まり、より低価格で価値のある商品が求められるようになった。このような市場環境のなかで、荷主企業のなかには、自社の得意とする分野に集中し、それ以外の業務については外注する(アウトソーシング)企業戦略を採用するものもある。

荷主企業のなかには、自社で物流業務を行なうよりも専業者に委託したほうが効率的との考えのもとに、物流業務をアウトソーシングするものもある。そうすれば自家用倉庫や自家用トラックに投資する必要がなくなり、本業に投資を集中することが可能になる。

欧米では、このようなニーズに対し、荷主企業の物流改善を一括して受託するサード・パーティー・ロジスティクスを提供する物流事業者が活躍している。サード・パーティ・ロジスティクスでは、グローバルな物流ネットワークに加え、物流改善能力、企画力、提案力が求められる。わが国のフォワーダーは、荷主企業のグローバル化とともに、海外のサード・パーティー・ロジスティクス事業者と競合するケースが増えており、一部の先進的事業者は、サード・パーティー・ロジスティクスの考え方を取り入れたサービスの供給を始めている。

 

 

 

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