替えるハブ・アンド・スポーク・システムを採用するようになった。このシステムにより、超大型船舶による低コストとフィーダー輸送によるきめこまかなサービスの両立を図っている。
また、日系フォワーダーは、荷主企業に追随し、80年代に入って急速に海外進出を加速している。日系フォワーダーのなかには、海外ネットワークを活用し、アジアと欧米間、欧州域内、アジア域内など、三国間の混載輸送サービスを提供する事業者が増えている。
製品輸入の急増に対応した物流サービスを開発する物流事業者も増えている。中国から日本へのアパレル輸出では、検品、検針、流通加工など特殊な工程が必要とされるが、これらをセットした総合的な逆輸入物流サービスを提供するフォワーダーもある。またパソコンの輸入では、半製品の輸入・検査を行なった後、製品の組立、ソフトウェアのインストール、配送まで一貫したキッティングサービスを行なうフォワーダーも登場している。
(5) グローバル化と物流ニーズ
1) グローバル化
1980年代後半以降、円高経済が定着するようになると、先進企業は、海外拠点の経営効率を向上させるため、生産機能にとどまらず管理機能を含め経営資源をフルセットで海外に移転するようになった。その背景には、グローバリゼーションと現地化(ローカリゼーション)を両立させる、いわゆるグローカリゼーション経営による企業の現地化促進がある。
ここでグローバル化の現状をみると、95年3月現在、海外に現地法人を有する日本企業(金融・保険業、不動産業を除く)数は、3,695社ある。すでに大手企業では、海外で事業を営むことは当たり前のこととみなされるようになっており、中堅・中小企業においても国際化が進展している。
これらの企業の海外現地法人は、調達、製造、販売活動を活発化させており、日本、アジア、欧州、北米4極を結ぶグローバルな企業活動が行なわれている。調達活動では、日本から他の3極への輸出額は86年度には3.8兆円であったが、94年度には8.8兆円に増加している。日本の総輸出額に占める比率は9.9%から22.5%に上昇しており、貿易に占める企業内取引が急増している。アジア、北米では、日本からの調達以上に、域内調達が増加しており、日本からの調達比率はむしろ低下している。日本を経由しない3極間取引も増加しており、調達のグローバル化が進んでいる。
販売活動では、アジアでは域内販売比率が高まる一方、北米、欧州では低下している。3極とも日本に対する輸出額を大幅に増やしており、日本の逆輸入額は94年度には3.2兆円に達している。日本の総輸入額に占める逆輸入の比率は86年度の2.4%から12.8%に増加している。
2) 国際調達拠点の設置
このような段階になってくると、グローバル化先行企業では、企業の現地化に対応し、海外拠点での物流合理化が重要な施策となる。上記の段階までの物流ニーズに加えて、倉庫、荷役施設、物流センターなど物流施設や情報システムの整備が現地企業の経営判断で進められている。
荷主企業はグローバル化が進展するなか、拠点間の連携を強めるため、組織面では地域統括拠点(Operational Head Quarter : OHQ)、国際調達拠点(International Procurement Office:IPO)を活発に設置し始めている。
アジア諸国では、これらの拠点を誘致するため、税制上の優遇措置や通信・物流インフラの整備を進めている。電機産業では、香港、シンガポールなどへOHQ、IPOを設置する動きが顕著であり、