第5章 国際貨物フォワーダーの役割の変化
寺田 一薫
本章では、国際物流システム全体の方向を決定付けるうえで重要な貨物フォワーダーの役割とその変化について論じる。
第1節では、わが国の国際物流での輸入超過によって生じている様々な問題を指摘する。第2節においては、同盟船社の複合一貫輸送戦略、これと表裏をなす盟外船社とフォワーダーの複合一貫輸送戦略を整理する。さらにサービス・コントラクト(SC)締結の代行やLCL貨物の取り扱いというNVOCC(非船舶運航海上運送人)の側面からフォワーダーの機能を説明し、米国におけるNVOCCの産業構造を略述する。第3節においては、潜在的にフォワーダーに影響をもつであろう定期船船社間での1996年以来のグローバル・アライアンスの変化を整理する。第4節においては、今後のフォワーダーのあり方を占う重要な概念であるサード・パーティー・ロジスティックス(TPL)について解説する。
第6章 わが国の港湾産業と港湾管理に関する問題点
寺田 一薫
本章においては、港湾運送業と関連した港湾管理問題に焦点をあてて、わが国の国際物流政策のあり方を考える。第1節においては、物流空洞化への懸念、アジア諸国との間での物流競争の視点から、港湾問題の背後にある論議を確認する。
第2節では、物流問題への問題提起としての物流内外価格差に関する調査結果とその解釈を整理し、最近の審議会と公式研究会レベルでの港湾に関する論議を再確認する。さらに国内間題が国際問題と切り離せないという物流政策の側面を確認させることになった、米国連邦海事委員会(FMC)によるわが国の港湾問題に対する提訴問題に言及する。
第3節では、港湾運用の効率化への取り組みについて整理を行なう。若干の改善は進んでいるが、日曜・夜間荷役問題や外航バースヘの内航船接岸など、未解決の問題が山積していることを指摘する。
第4節では、港湾運送事業における規制緩和の必要を指摘する。とりわけ重要な問題は、参