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1980年代になると、SIS(Strategic Information System)が注目を浴びることとなった。SISとは、現場部門で主に現場の管理に活用されていたデータを、経営者の意思決定や今後の戦略構築に利用することを目的とした情報システムである。つまり、単に業務の効率化を追求するだけでなく、民間企業においては、顧客の囲い込みや物流形態の再構築等の戦略的意思決定を実現し、企業競争力を高めるための情報システムと位置づけられる。

しかし、SISは当時「SISブーム」と呼ばれるほど概念が先行し、実際にSISが全ての企業にとって必ずしも極めて有益な情報システムとはならないまま「ブーム」が過ぎてしまったと考えられる。

 

MISやSISのような事務系業務の効率化のための情報システムの考え方が進化する一方、生産系業務においても1980年代にデータベースを活用して生産の効率化を追求する考え方として、MRP(Material Requirements Planning)が存在する。

MRPとは、資材の大まかな数量の管理(在庫管理、購買管理等)をデータ管理することにより、資源所要量計画を適正化しようという考えに立脚した情報システムである。また、工場の機械化や自動化を情報システムを活用して行い、生産プロセスを管理する考え方としてCIM(Computer Integrate Manufacture)もこの時代に生まれ、生産系業務の大幅な改善に寄与した。

 

1990年代には、それまで個別に進展した事務系業務と生産系業務の情報システムを統合し一連の業務の流れを管理する概念としてERP(Enterprise Resource Planning)が出現する。ERPを基本概念とした情報システムはさまざまな企業(SAP社、Oracle applications社、J.D.Edwards社等)が展開しており、現在、業務改革を行う上での重要なツールとして用いられている。

 

ERPはパッケージ化された情報システム(製品)であり、従来のような「各企業特有の個別業務に対応した(カスタマイズされた)情報システム」とは大きく異なると考えられる。ERPの特徴を指し示す考え方としては、以下の事項が挙げられる。

 

<ABC(Activity Based Costing)>

 

 

 

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