暗号化技術は、一般的に「秘密鍵暗合方式」と「公開鍵暗号方式」の2つに分けられる。秘密鍵方式は、DES方式をはじめ、NTTで開発されたFEAL方式や、日立製作所で開発されたMULTI方式等がある。公開鍵暗合方式の代表的な例としてはRAS方式が挙げられる。
第三者の不正な介入が比較的容易なインターネット等のオープンネットワークにおいては、公開鍵方式では認証機関と呼ばれる機関の役割が重要となってくる。認証機関は、申請者の公開鍵に対してその公開鍵が申請者自身のものであることを証明・認証し、それにもとづき認証書を発行したり、認証書の送付、申請者の公開鍵の登録・管理、認証機関自身の鍵の生成・管理等を行う。
現在、米国ベリサイン社等によって電子認証サービスが提供されている。また、わが国においても日立製作所、富士通、日本電気が認証会社を設立することで合意しているが、国内でしか通用しないため、通商産業省で国産の認証書が世界で流通できるような環境整備を図ろうとしている。
3-1-3 情報システムを活用した業務改善の動向
3-1-2の「窓口業務に関連する情報システム技術の動向」は、近年急速に進展する情報システム技術を適用することにより、情報システムを活用した窓口業務の処理能力を向上させる点について述べている。一方、情報システムの処理能力の向上だけではなく、情報システムを活用することにより業務自体を改善(改革)する取り組みも民間企業を中心に進められてきた。
業務自体を情報システムを用いて改善する取り組みは、1970年代に登場したMIS(Management information system)までさかのぼると考えられる。MISとは、それまで個別業務のデータ処理のみに活用されていたコンピュータを、組織全体の管理に活用する考え方であり、これにより事務系のさまざまな部門で管理システムが構築された。
しかし、すべての部門の業務管理に情報システムが活用されただけで、各部門の有機的なデータ等の連携は当時は不充分な状態であった。