第1章
調査研究の概要
1-1 調査研究の背景及び目的
1-1-1 背景
地方公共団体の窓口業務(許認可の申請、各種の届出、証明書の発行等)は、住民と直接的にコミュニケーションをとるために、住民が評価する公的サービス全体の質の大きな要因であると考えられる。
窓口業務はそれぞれ所轄する担当部署が異なることから、住民はそれぞれの担当窓口へ足を運んで手続を行っているのが現状である。住民の立場から考えれば、1つの窓口で各種手続が完結できること(総合窓口化)は、住民の利便性の向上に寄与できるものと考えられる。
行政の情報化の進展によって各窓口の情報システム化は進められ、地方公共団体も業務の効率化に努力しているが、あくまでも担当部署で閉じた情報システムが主流である。近年の情報処理技術の発達により、従来の担当部署や所管業務を変更せずに、複数の手続を1カ所で処理することができる「総合窓口システム」が検討されつつあるが、普及にはさまざまな課題が存在すると考えられる。
平成8年4月に提言された「行政サービスの電子革命に向けて」において、行政サービスの電子革命実現のための基本的な軸の一つとして、「ワンストップサービス」が挙げられている。「総合窓口化」は、まさに「ワンストップサービス」の一形態と考えられる。
また、平成9年12月に閣議決定された「行政情報化推進基本計画の改定について」においても、国民生活、企業活動等に必要な行政手続、行政情報の提供等について、地方公共団体等との連携・協力を図りつつ、情報通信技術の活用による「ワンストッ