おいて住民基本台帳コードを使用したワンストップサービスを実施する場合に、複数機関にまたがって関連する個人情報が伝達されることになる。これが、保護法でいう提供の制限規定との関係でどう位置づけるかは検討しておかなければならないであろう。住民基本台帳ネットワークシステムにおいて、全国センターには、基本4情報以外の付加的な情報は蓄積されないようにするという構想もこの規定との関連で見ると注目される。
?B データマッチング
個人情報の保護、プライバシーの保護の観点からもっとも懸念されているのが、複数ファイルにある個人情報をマッチングすることによって、当該個人に不利益が及ぶことの可能性である。保護法では、権限以外の情報を行政機関が保有し、利用することはない前提に立っていて、そのことによって事実上、マッチングは行われないからという根拠で、マッチングを明記して規制していない。
行政機関内部では確かにいわゆる、マッチングは行われないであろうし、もし、複数のファイルをと突合する場合には、事前通知、公示等の正規の手続をとり、明らかにした上で実施されることで、個人の権利・利益が不当に侵害されることはないことが保証されよう。
住民基本台帳コードと個別アプリケーションの個人情報のコード変換は、ここでいうデータマッチングとはいえないと考えられるが、その点について確認しておくことは必要であろう。
?C 地方公共団体における保護条例
現在、地方公共団体が制定している個人情報保護条例は、それぞれの団体内が保有する個人情報の保護を目的としているため、住民基本台帳ネットワークシステムによって、市町村間で個人情報が伝送され、利用される状況を想定していない。住民基本台帳法の改正によって、市町村を通ずる保護方策が強化されることになるが、個々の市町村における保護方策、個人情報の処理、使用等の運用面、特に、市町村間の情報伝送に伴う措置について、むしろ全国統一的な方策が必要であろう。