ようにするものである。旅券の取得のためには、現行では居住する都道府県を経由して申請しなければならないが、マルチアクセスサービスが実現すれば、県の旅券課まで赴く必要はなく、郵便局、市町村等、多くのアクセスポイントがあるというわけである。この方式のサービスをうけるためには、ワンストップサービスと同様に、本人確認、共通コードの使用が必要になる。すなわち、行政サービスのアクセスポイントが拡張するということは、役所側からすれば、自機関の所掌ではない行政サービスの申請を受け付け、提供することになるのであるから、本人確認は重要な手続になる。
4-5 既存コードとのリンク
事務処理の効率化や行政サービスの質の向上が図られるためには、住民基本台帳コードが複数のアプリケーションの共通コードとなって、当該者の住所、氏名の更新がネットワークを介して自動的に実行できることが要求されることは既述のとおりである。すなわち、市町村に届けられる年関数百万件の住所変更、氏名変更データが、ネットワークを通じて、変更データを有する個人情報の関連する部分を自動的に更新できるようになれば、変更データを文書で入手し、その分をシステムに入力し、更新するという現行の処理に比べはるかに効率的になることは明らかである。住所、氏名を蓄積している県、国の機関のアプリケーションは多く、更新件数が年関数百万件に達するということは、その自動更新による省力効果は大きいことを意味する。
上記のような手続を可能にするためには、以下のような、既存アプリケーションのコードと新しい住民基本台帳コードとのリンクという大きな問題がある。すなわち、既存アプリケーションでは、個人に既にコードが付与されていて、これらを住民基本台帳コードに変更することは、アプリケーション・プログラムの大幅な変更を伴い、実質上不可能なのである。
4-5-1 既存コードとのリンクの困難性
市町村だけではなく、県・国の行政機関が保有する個人情報ファイルのコードを新しい住民基本台帳コードに移行することは、以下のような事情から、極めて難しいといわざるを得ない。