(1) 本人確認
ここの行政サービスを特定の決められた機関において提供する場合には、当該機関は自己の責任においてサービスの提供を要求してきた者が本人であるかどうかについて確認することとなり、十分とは言い切れないまでもしかるべき方策を採っている。
しかしながら、ワンストップサービスにおいては、要求されたサービスの提供に関してその機関が直接、所掌しているとは限らないこととなる。本来的に権限を有する機関に変わって申請を受け付けるのではあるが、それは受理行為の代理であるから、その受付の時点でしかるべき本人確認を行なうことが必要となる。
以上のように、他機関の行政サービスの申請受付、提供の代理を行なうためには、共通の本人確認手続が必要であり、そのことが住民、行政側双方にとって負担がないようにしなければならない。住民基本台帳カードの記載事項、写真、住民基本台帳コード、パスワード等が、ネットワークを介した行政サービスの提供における本人確認手段となり得るものであり、現在考えられる唯一の適切な方法となるであろう。
(2) 関連サービスの連携、調整
ワンストップサービスの実現までには、「行政情報化推進基本計画の改訂」において記述されているように、サービスの対象分野、サービス項目・内容、実施手順を検討する必要がある。
すべての行政をワンストップで得られるようにしようというのは実際的ではなく、いくつかのメニューを用意し、それぞれのメニューに関連するサービス項目・内容を確定する作業が必要となる。そのためには、メニューごとに、それに含まれる各サービスに関係する機関間の連携、調整を行なうことが必須となる。米国連邦政府の場合は、各省庁情報KIOSK委員会が設置され、そこで、KIOSKを介して提供されるワンストップサービスのメニュー、項目、内容等を協議、調整している。
以上のように、協議、調整が成立したサービスについて、それらをワンストップで実現するために、住民基本台帳コードは、そのために必須とされる、複数アプリケーション間の個人情報を検索、更新処理するための共通キーとなるのである。言い換えれば、関連アプリケーションにアクセスしできる共通キーがなければ、ワンストップサービスの実現は事実上、不可能に近いのである。