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それぞれ年間数百万件発生することを考慮すれば、その自動化による効率化効果は計り知れない。シンガポールをはじめとして、諸外国において住所変更の一元化がワンストップサービスの最初の目標となっている所以であろう。

 

4-4 行政サービスの質の向上

 

住民基本台帳ネットワークシステムとその共通番号によるメリットは行政内部の事務処理の効率化に加え、行政サービスの質の向上に大きく貢献することが期待される。特に、ネットワークを活用することによる、新しいサービス提供形態が可能になるという点でのメリットは大きい。ネットワークを活用するサービス形態として、ワンストップサービス、ノンストップサービス、マルチアクセスサービスの3つが挙げられよう。

 

4-4-1 ワンストップサービス

 

この数年、いわゆる電子政府の実現という概念で行政サービスの電子化がいわれてきており、その中でも最も中心的な目標がワンストップサービスであるといえよう。この背景には、従来の行政が縦割りであり、そのことによって行政サービスにおいて、その弊害が直接的に現れ、たらい回しという言葉で行政事務の非効率性が非難されてきた経緯がある。ネットワークを活用した行政サービスにおいては、従来の組織、分掌にとらわれない複合的なサービスが一元的に得られる期待があるというわけである。平成9年12月に閣議決定された「行政情報化推進基本計画の改訂」において、「総務庁において、ワンストップサービスの対象分野、サービス項目・内容、実施手順等について、制度・技術面を含め、その実現に向けた検討を進めるとともに、郵政省において、郵便局におけるワンストップ行政サービスの実験等を行なう。これらの検討結果等を踏まえ、地方公共団体との連携を図りつつ、行政情報システム各省庁連絡会議において、ワンストップサービスの整備方針を策定する。」とかなり踏込んだ表現で、重要なプロジェクトとして位置づけられた所以であろう。しかしながら、ワンストップサービスは、従来の行政手続では律しきれない内容を含んでおり、その実現のためには、以下の3点が検討されなければならない。

 

 

 

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