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4-3 行政事務処理の効率化

 

昭和40年代に導入について調査研究が実施された事務処理用統一個人コードの目的はまさに、国の行政機関内部の事務処理の効率化にあった。しかしながら、各アプリケーション間にデータを交換する相互関係がない限り、コードを統一することによるメリットは大きくない。その意味でコンピュータ利用の初期段階にあった当時においては、実現に至るメリットをそれほど明確に提示できなかった状況があったと考えられる。

これに対して、現在実施が具体化しつつある住民基本台帳ネットワークシステムは、以下のような点で行政事務処理の効率化の観点から十分、効果が期待されるにいたっていると考えられる。

 

(1) 住民基本台帳関連事務

 

全国の転入・転出は平成6年度実績で約460万件ある。この事務のネットワーク化によって得られる簡素・合理化効果は大きいものと期待される。また、住民票の写しの発行枚数は年間1億枚に達することからみて、住民基本台帳ネットワークシステムによって、この写しの添付を省略できれば、発行に要している事務処理の効率化も極めて大きい。

 

(2) 本人確認事務

 

行政手続において本人確認は極めて重要であり、頻繁に発生する。行政サービスを提供する際には、要求している住民が当該サービス受給者であるか否か、なりすましではないか等を確認しなければならないのである。しかしながら、このように重要な本人確認方法について、現在の日本には法的、手続的、運用上等から万全のものはなく、間に合わせの手段に依存したり、十分確認できないで実施せざるを得ないことになっている。例えば、現在、公的に認められている本人確認のための身分証明証はなく、運転免許、保険証の提示を求めているが、運転免許を保有しない国民は少なくなく、保険証は写真がなく完壁な本人確認手段にはなり得ない。要するに、運転免許を保有しない者は基本的には自分を公的に証明する手段を有しないことになる。

住民基本台帳コード、写真を付した住民基本台帳カードが普及すれば、問に合わせや無理な本人確認事務を速やかに実施できることになる。選挙、災害緊急時、旅券交付等

 

 

 

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