ことから記憶媒体はICとすることが提案されている。ICカード内のデータは、基本4情報と住民基本台帳コードとし、パスワードで不正利用、なりすまし利用を防ぐ必要があることから、当然に要求される機能であろう。
(4) 住民基本台帳記載項目の情報交換
個人情報の保護、プライバシー侵害の不安から、ネットワークで交換される情報を基本4情報に限定することが基本となっているが、住民基本台帳カード内のデータを基本4情報に限定することは、住民基本台帳ネットワークシステムによる利用面のメリットに制約が出ることを意味するものである。例えば、住民基本台帳には、基本4情報以外に、世帯主又は続柄、戸籍、選挙人名簿の登録、国民健康保険及び国民年金の被保険者資格に関する事項、児童手当受給資格に関する事項等が記録されており、引越しに伴い住民登録を異動する場合、これら情報は転出市町村から入手する転出証明に記載されることとなる。転入市町村ではこれら情報が当該転入者への行政サービス提供のために必要なのである。
住民基本台帳ネットワークシステムを使って、市町村間で提供しあう情報が基本4情報に限定されると、それ以外の情報については別途、文書で郵送するか、本人が持参する必要があり、ネットワークを活用した住所変更のワンストップサービスは事実上、実現できないこととなる。このことを、住民基本台帳ネットワークシステムの構想では以下のように記述している。
「各市町村がカードを利用して独自の行政を展開できるようにするため、市町村の条例及ぴ本人の選択により、市町村が4情報以外の情報を記憶させて高度な住民サービスに活用できるものとすることが適当である。」
ここでいう4情報以外の情報とは、住民基本台帳に記載されていて、転出転入の際に異動する項目のことを指すと考えてよい。ここでも、選択できるという記述になっているが、むしろこれら事項が受け渡しできないと市町村の住民登録事務とそれに関連する行政事務処理ができないこととなることは既述のとおりである。
同報告書では、この住民基本台帳記録情報の交換について、「住民基本台帳事務の効率化・広域化」の「転入・転出事務の簡素化・合理化」で以下のように記述している。
「ネットワークシステムにより転入・転出事務を行なう場合には、センターへの紹介によりコードの所属市町村を特定した上で、市町村どうしが一対一対応でネットワークシ