第4章
個人コードの導入及び利用方策
ネットワーク社会において、情報技術を活用した新しい行政サービスや事務処理の効率化を図るために、国民の多く、又は全員に統一個人コードを付与し、利用することが必要になることは明らかである。特に、ネットワークを介して情報を得、サービスを受けるための本人確認は、出頭、対面ではなく、個人コードとパスワードによらざるを得ないのである。全国民にもれなく、重複なく統一個人コードを付与することは、技術的問題より手続、運用上の課題の方が大きいように考えられる。また、この統一個人コードを実際の行政事務、行政サービスにおける活用方法、そのための方策は、今後、検討されるべき大きな課題となりつつある。
従来から統一個人コードの有効性、必要性がいわれてきながら、具体的な検討に入らないできた事情があったことは、既述のとおりであるが、最近、自治省の住民基本台帳ネットワークシステム構想が打ち出され、そのための法改正が進められている状況は、統一個人コードの導入による、行政事務の効率化、行政サービスの質の向上実現に向けた議論を具体的なものとしている。その意味では、統一個人コードの導入方策及びその利用方策について、住民基本台帳ネットワークシステム構想をべースに検討しておくことが必要であり、実践的であると考えられる。
4-1 統一個人コードの導入方策
多くの国民に統一番号を付与するべースとして、年金番号と住民基本台帳の2つがあり、各国においてもどちらかを採用している。これら2方式の得失は第1章において既述のとおりであるが、日本においては、平成9年1月に、複数の年金制度の年金番号は統一されたが、これらを統一個人コードとして使用することは、年金加入者本人のみに番号が付与されており、カバー率が住民基本台帳に比べ低いという問題がある。住民基本台帳をベースとする方が適切であるといわれる所以である。住民基本台帳法をベースとした統一個人コード(住民基本台帳ネットワークシステム構想では、「住民基本台帳コード」と称している。本章においても、以下、「住民基本台帳コード」という)の設定、付与方法は以下のとおりである。