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政府構想であり、次の点を主要な要素とするものである。

 

・ キーエスクロー機関として民間の機関を想定又は使用可能とする(Private Sector Key Escrow System)。

・ キーエスクローを条件に共通鍵方式の暗号技術DESを使用した暗号製品の輸出規制を緩和する。

 

これは、前述のクリッパー1に対して向けられた強い抵抗感を払拭するために、米国政府がいわば修正案として発表したものであり、これをたたき台にして同年9月より政府・民間企業間の議論が行われたが、民間の機関への寄託の方法、鍵寄託機関の資格要件等の不明確性への懸念や輸出規制緩和策について、キーエスクローを条件とするにもかかわらず、なお、輸出できる暗号の強度に上限を設けることへの米国産業界の反対等が強く、結局合意には至らなかった。

 

?C クリッパー3

キーエスクローシステムについては、政府による独占的な秘密鍵の預託・管理→データの解読という要素に対する抵抗感が強く、クリッパー2において民間の機関への寄託の可能性を示しても、なお、その感を拭いきれなかった。

そこで、1996年5月に新たにキーリカバリーシステムの構築構想として公表されたのが、通称クリッパー3と呼ばれるものである。

これは、次の3点を主要な要素とするものである。

 

・ 認証及び秘匿の両目的に利用可能な公開鍵方式の暗号技術のための暗号鍵管理インフラ(Key Management Infrastruture:KMI)を構築。

・ ユーザーが認証機関(CA)による認証サービスを受けるためには、ユーザーの秘密鍵が秘密鍵寄託機関(Escrow Authority:EA)へ寄託されていることが条件となる。

・ 寄託された秘密鍵は、ユーザーの要請によりキーリカバリーのために利用されるほか、司法上の要請(裁判所の令状等)がある場合には、法執行機関に開示されてキーリカバリーのために利用される。

 

 

 

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