日本財団 図書館


(5) 声 紋

日常生活において、電話での会話の場合でも、顔は見えなくとも、声の質によって相手が誰であるかを理解することができる。ここで、声の質と一言でいっても、実際には声の高さや大きさなど、先天的な発生器官に依存する部分と話すときのテンポやアクセント、イントネーションなど、後天的な発声習慣によるものも含まれる。これらが総合的に個人性を形成していると考えられる。話すときのテンポやアクセント、イントネーションなどは真似されやすいという欠点を持つため、前者、すなわち、声帯の性質や声道系の形状などに起因する音響的特徴を音響信号から抽出する方法が研究の中心をなしている。実際には音声波形のスペクトルに関する統計量が用いられる。

声は本人がその場にいなくても、どこにいても電話などで簡単に送れること、声の観測も非接触で簡単にできる、など、声紋による個人識別には他のものにはない利点があり、期待されている。現在の主な用途は電話によるバンキングや買いものサービス、音声・ファックスメールなどの電話サービス、電話網を使ったコンピュータのリモートアクセス、高度な情報提供サービス、などにおけるアクセルコントロールである。

実際には、声紋に関しては、それに基づく製品例はあるものの、図表3-15に示すように認識率の点ではまだまだ不十分であり、確実性は低いと考えられている。

 

(6) 虹 彩(アイリス)

これは、眼球の虹彩(アイリス)パターンの特徴を認識し、本人認証をする技術である。アイリス(虹彩)は人間の瞳の瞳孔を取り巻く筋肉の部分で、各人が固有のパターンを持ち、2歳を過ぎると年齢による変化がない。カメラを使って離れた位置からアイリスを取得すため、データを採取する煩わしさがなく、偽造することがほとんど不可能である。

照合時間も短く、誤認識率は10万分の1以下ともいわれている。

 

(7) 署 名

署名を用いる本人認証技術は筆者認識技術の内の筆者照合技術を利用したものである。ちなみに筆者認識こは筆者識別と筆者照合とがある。筆者識別とは筆跡から筆者が複数の人物のうちの誰であるかを特定する技術であり、筆者照合とは筆者が特定のある人物であることを確認する技術である。筆者照合は対象となる人物の筆跡(今の場合、署名)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION