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プライバシーマークの付与を受けた者は、「プライバシーマーク使用契約」を締結し、自由にマークの使用が可能になる。ただし、使用契約を結んだ民間事業者は、別に定める「プライバシーマーク使用規定」を遵守しなければならない。

 

(4) 行政情報サービスの高度化と個人情報保護に関わる課題

?@ 個人情報保護に係わる制度面での課題

我が国においても、プライバシーの侵害に関する国民の意識がこれまで決して低かったわけではないが、近年、個人情報の流出、漏洩が大規模に発生する事件が多発するようになって、個人情報保護についての関心が急速に高まっている。

たとえば、1995年1月には、埼玉県志木市の「全市民約6万4千人分の閲覧用住民台帳のコピー」が名簿業者に流出し大きな問題になった。また、同年2月には郵政省がパソコン通信用に新設した情報網サービスとしての「阪神大震災の被災者名簿約1,200人分のデータ」が流出し、震災商法に利用された。さらに、同年12月には、全国信用情報センター連合会管理のコンピュータから、消費者金融を装って入会した複数の業者が6年間にわたって、85万件以上の個人の信用情報が不正に引き出された。

そうした中、1997年12月、さくら銀行(東京都千代田区)の顧客データ2万人分がフロッピーディスクの形で都内の名簿業者に持ち込まれる事件が発生した。流出したデータは、住所、氏名、電話番号、生年月日などの一覧表と、同行のシステム開発業務を行う「さくら情報システム」の項目説明書も添付してあった。

流出が判明した直後の25日に、同行は窃盗事件として上申書を警視庁に提出した。これに基づき流出ルートの絞り込みを開始した警視庁では、明けて1998年1月7日、同行の顧客検索システムを開発していた「CTCシステムデザイン」に派遣されていた情報処理会社の課長を業務上横領容疑で逮捕した。さらに、同庁は翌8日、入館料を取って名簿を閲覧させる民間会社「名簿図書館」の館長を恐喝容疑で逮捕した。顧客データを基に、さくら銀行側に「名簿図書館の賛助会員になれ」と脅しをかけた結果である。

今回の事件では、さくら銀行側では窃盗事件として被害届を提出しようとしたが、結果的に保留となった。理由は、電磁記録が刑法235条の「窃盗」でいう「財物」とみなすことができないからであった。つまり、刑法での「財物」とは、「有体物など物理的に管理可能なもの」と捕らえられているからである。しかし、今回の場合は、たまたま被告がデータと共にシステム開発に関する説明書などが入ったファイルを勝手に職場か

 

 

 

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