(2) 民間部門における個人情報保護の状況
民間部門における個人情報保護に関しては、一般的な法規制は存在していないが、いわゆる部分的法規制としては、1983年制定の「貸金業の規制等に関する法律」において、貸金業協会が信用情報機関の利用により入手した情報を、資金需要者の返済能力調査以外の目的のために使用してはならないこととして他目的使用を禁じている例がある。
また、1984年に公布された「割賦販売法の一部を改正する法律」において、割賦販売業者および信用情報機関が信用情報を購入者の支払能力の調査以外の目的のために使用することが禁じられており、また、信用情報機関が正確な信用情報を割賦販売業者等に提供するよう努めなければならないとされているなど、信用情報の目的外使用の禁止およびデータの正確性についての規定を設けている例がある。また、通達による民間業者に対する指導として、1986年に、消費者信用情報の取り扱いについて、「消費者信用情報機関等における消費者信用情報の管理等について」と題する大蔵省銀行局長通達が出されている。
一方、1988年9月には、国民生活審議会政策部会において「消費者取引きにおける個人情報保護のあり方」についての報告書がとりまとめられている。
しかし、前述したように、民間部門における個人情報保護については、民間部門全体を対象とする法律はまだ制定されてはいない。したがって、現在のところ、行政機関による行政指導や事業者団体の自主規制によって個人情報が保護されているのが実状である。
1980年のOECDガイドラインの策定を受けて、1988年には?葛燉Z情報システムセンター(FISC)が「金融機関等における個人データ保護のための取扱い指針」を策定し、1988年には?鞄?本情報処理開発協会(JPDEC)が「民間部門における個人情報保護のためのガイドライン」を策定している。両ガイドラインは、いずれもOECDガイドラインに対応したものであり、下記について規定している。
1) ガイドラインの対象
2) 個人情報の収集
3) 個人情報の利用または提供
4) 個人情報の適正管理
5) 自己情報の開示請求等