また、総務庁では、1984年12月の閣議決定での「行政機関の保有する個人データの保護については、政府としての方針をとりまとめるよう努める」との方針に基づき、行政機関等における個人情報の保護のあり方に関し、法的措置を含む制度的方策を検討し、その成果を政府としての方針をとりまとめる際の参考とするため、「行政機関における個人情報の保護に関する研究会」を1985年7月から開始した。
この間、臨調答申の具体的推進方策を調査審議することを目的とする臨時行政改革推進審議会が設置され、1986年6月に、個人情報保護について「国民の行政に対する信頼と理解を確保する等のため、臨調答申の指椥こ沿って、…個人情報の保護について法的措置を含む制度的方策の検討を進め、速やかに政府としての方針をとりまとめる」旨の答申が出された。
こうした検討経緯を踏まえ、1986年12月、「行政機関の保有する電子計算機処理に係わる個人情報の保護の制度的方策については、法的措置を講じる方向で、そのための具体的検討を行う」ことが閣議決定され、これを受けて具体的な法律案の立案作業に着手した。
そして、1988年4月に「行政機関の保有する電子計算機処理に係わる個人情報の保護」に関する法案が閣議決定を経て国会に提出され、同年12月9日に参議院本会議で可決成立し、12月16日に公布する運びとなった。
なお、同法律の骨子は以下の通りである。
* 行政機関の保有する電子計算機処理に係わる個人情報を対象とすること。
* 業務に関連性を有しない個人情報を保有してはならないこと。
* 個人情報の漏洩、滅失、き損等を防止し、正確性を確保するよう努めるべきこと。
* 個人情報ファイルの概要を公示すること。
* 原則として、保有目的以外の目的のために個人情報を利用し、提供してはならないこと。
* 本人からの個人情報の開示請求に応じるとともに、訂正等の申し出があれば、調査し、その結果を通知すること。
* 総務庁長官が、法運用の統一性、法適合性確保のための措置(資料および説明の要求、意見の陳述)を行うこと。
* 地方公共団体、特殊法人においては、本法の規定に基づく国の施策に留意しつつ、