日本財団 図書館


は、プライバシー監督官に嘆願することができるようになっている。

プライバシー監督官の任務は、擁護、監査、監督などの活動に参画することにある。プライバシー監督官は議会に対してのみ責任を負うため、その任務は全く独立したものとなっている。任期は7年で、再任も可能である。プライバシー監督官の役割は、第一に「プライバシーに関する苦情処理というオンブズマン特有の役割」であり、第二に「個人情報に関する連邦政府の取り扱いを監査する監査人としての役割」である。

カナダでは、国民に関する情報(意思決定の目的のために使用されない個人情報)と政府機関に関する情報をデータベース化している。この情報は、個人情報索引としてリスト化され、公共の図書館、政府情報機関、郵便局などで利用できるようになっている。情報がデータベースの特例ファイルの中に保存されていたり、開示することによって誰かに脅威を与えたり、あるいは弁護士の依頼人の特権を侵害する場合を除いて、国民や永住権のある住人および連邦政府の受刑者でさえこれらの情報を閲覧することができる。

プライバシー監督官は、政府の監視活動に関する年次報告書を議会に提出する義務がある。プライバシー監督官は、もともと苦情処理のように受け身的な役割であったが、最近では多くの予防措置を講じるなどの活動も行うようになった。

プライバシー法の規定に関しては、プライバシー監督官だけでなく、財務省、司法省、政府各省の長官達も責任を負っている。プライバシー監督官は、ただ助言するだけであり、プライバシーの執行方法を決定するのは、カナダ連邦裁判所である司法機関である。カナダの州政府も、プライバシー法を制定するために積極的に取り組んでいる。ケベック州とオンタリオ州は、公的機関に対するデータ保護法を制定している。

 

(C) オーストラリア

オーストラリアでは、1971年に「クイーンズランドプライバシー侵害法」が、最初のデータ保護法制として採択された。その後、1988年に「プライバシー法」が施行されたが、同法では自動処理ファイルと自然人のみを対象としている。この法律には、以下の11原則が提示されている。

 

(情報プライバシー11原則)

1) 個人情報を収集するための合法的な目的と公正な手段に関する制限

2) 収集目的・理由の周知

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION