・ 健全な財政基盤を維持すること
実際に、第1番目の公約も確実に実現し、住民に課される税率が、1984年の21%強から年々低下し、1996年には17%強まで下げられていることは驚きに値する。こうした減税を実現できた背景には、フォールム市による大胆な行政改革の実施がある。かつては、200名程いた市役所本庁の事務職員が、1996年現在では104名にまで削減されている。更に今後も改革を推し進めて、2004年までには事務職員を60名程度に削減する計画である。
フォールム市の行政改革は、単なるリストラではなく、以下に示すような行政サービスの情報化により実現されているのである。
・ 小学校、介護施設等の行政サービス機関、並びに市役所本庁において電子メールが導入されており、会議等のコミュニケーション・コストを削減すると同時に事務職員(秘書も含む)及び事務コストの大幅削減を実現している。現在、市長にのみ秘書がついている。
・ 市のソーシャルワーカーには、1人1台のパソコンが配備されており、コンピュータを利用したきめ細かな相談業務(ケースワーク)が実施されており、市民の満足度も向上している。
・ 市の税務課と国税庁のネットワーク化により、税務申告手続が連動されており、市民の手間が削減されている。
・ 補助金の給付業務と税金滞納管理業務が連動されており、例えば、家賃補助金の給付を受けている低額所得者が、税金を滞納している場合には補助金の削減または給付の停止が速やかに実施される。また、保育費を滞納している場合は、児童手当金が削減される。
また、フォールム市では、インターネットを活用した行政情報の提供にも積極的に取組んでおり、英語のホームページを作成し、海外へのアピールも行っているが、これは、将来的にインターネットを活用した行政サービスの提供を本格的に行うための布石と考えられ、将来的には、行政サービスの70%をインターネットで提供し、残りの30%の業務をマニュアル対応とする構想である。自宅でインターネットを利用できない市民の