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(3) CPRシステムの導入効果

CPRシステムを導入したことにより、デンマーク全体では、年間で5〜6億クローネ(100億円程度に相当)の行政コストが節約されていると試算されている。また、CPRシステムにより住民が受ける効果例を以下に示す。

 

・ 申請手続等に伴う証明書の提出義務は、CPRシステムの導入により廃止されることになった。

・ A市に転入する者は、A市役所に転入届を提出することにより、転出先への届出は自動的に行われ、公的機関に対する住所変更届も一切行う必要はない。

・ また、パスポート及び運転免許証等の更新は、警察の所管であるが、市役所と警察の間はネットワーク化されているため、市役所への転入届のみでこれらの手続きが完了する。

 

(4) デンマークの都市における行政の情報化の取組み

デンマークでは、CPRシステムを活用することにより行政サービスの効率化に成功したことは既に述べたが、ここでは、デンマークの都市としては平均的な人口を擁するフォールム市(人口17,940人、デンマークの都市の平均人口は約19,000人)における取組みを紹介する。

フォールム市役所は、「市役所は市民にサービスを提供する企業であり、市民は企業の株主にあたる」という明確なポリシー(経営方針)に基づき、どのような行政を行えば、市民がフォールム市に住みたいと考えるかについて徹底的に検討した結果、以下に示すような公約を掲げることになった。

 

・ 可能な限り低い税率とすること

・ 事務職員を少なくすること

・ 児童の医療を保障すること

・ 職業訓練センターの活動を通じて雇用を保障すること

・ 介護施設における高齢者の収容を保障すること

・ 環境をより配慮すること

・ 余暇、スポーツ及び文化の領域で高度なサービスを提供すること

 

 

 

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