1-3-3 広域行政情報サービスシステムの動き
近年、道路網の整備、マイカーの普及、交通機関の発達により、住民の生活圏が拡大してきたことなどを背景に、行政区を越えて通勤、通学あるいはショッピング等をする人々の数が増加してきているといえよう。このような状況を踏まえ、複数の地方公共団体が連携し、ネットワークの利用により広域的に行政サービスを提供しようとする新しい動き(広域行政情報サービスシステムの開発、運用)が顕著になってきている。この新しい動きについて紹介する。
(1) 諏訪広域圏のシステム
諏訪地域の岡谷市等6市町村では、平成2年12月から地方自治法(第252条の2)の「地方公共団体の協議会」の規定に基づき、住民票の写し等を広域圏内のどの市町村でも交付できるシステムの運用を開始し、現在に至っている。このシステムは、全国の市町村に先駆けて実施したものである。
広域圏内の市町村は、第三セクタである総合情報センタとオンライン端末機で接続し、コンピュータによる住民票の写し等の発行処理を行っている。
例えば、A市の住民がB町の窓口で住民票の写し等の交付請求をした場合、B町では、オンライン端末機を通じて総合情報センタで発行した住民票の写し等をファクシミリによりA市へ送信する。B町では、A市からの請求内容確認の連絡を受けて、A市長の名において認証した住民票の写し等を請求者本人に交付する。
(2) 埼玉県領事館のシステム
埼玉県では、平成8年10月16日から東京都へ通勤、通学する約115万人の県民に対する行政サービス提供の拠点として、埼玉県情報センター新宿(愛称・埼玉県領事館)を開設し、ここで県内92市町村に対する住民票の写し等の交付請求の受付等を開始した。
例えば、東京都内へ通勤する県民が住民票の写し等の交付請求を必要とする場合、埼玉県領事館で交付請求書を記入する。領事館では、この交付請求書をファクシミリを通じて県民の居住する市町村へ送信する。当該市町村では、受信した交付請求書を審査した上で、住民票の写し等を発行し、請求者本人の住所地へ郵送する。