務員の週40時間勤務制の試行が実施された。平成3年になると地方公共団体における完全週休二日制の導入に伴う土曜閉庁への気運が急速に高まってきた。このような状況下において、市町村では、土曜閉庁の実施に当たっての代替措置として、行政窓口において利用者の多い住民票の写し、除票の写し及び住民票記載事項証明書(以下「住民票の写し等」という。)の自動交付システムを導入することで、閉庁日や勤務時間外における行政サービスを確保し、また、請求手続の簡素化等を図ることとした。
住民票の写し等の自動交付システムは、住民が直接自動交付端末機に請求者識別カードを差し込み、請求者暗証番号(以下「暗証番号」という。)をキーボードあるいはタッチパネル式の画面等を介して入力することにより、窓口の担当者の介在なしに住民票の写し等の交付を受けることができるシステムである。
請求者識別カードは、平成2年6月19日自治振第58号をもって一部改正された住民基本台帳事務処理要領において、「請求者を識別するための磁気又は集積回路を付したカードで、市町村長が申請に基づいて住民基本台帳に記録されている者に対して交付するもの」であり、また、暗証番号は、「請求者識別カードの不正な使用を防止するために暗証として入力される番号で、請求者識別カードの交付を受ける者が市町村長に届け出たもの」であると定められている。更に、自動交付システムによる住民票の写し等の交付が認められるのは、請求者が本人又は本人と同一の世帯に属する者に限定されている。
この住民票の写し等の自動交付システムの運用状況や市町村における印鑑登録証明書の交付件数の増大等を踏まえて、印鑑登録事務処理要領が、平成5年12月20日付け自治振第207号をもって一部改正された。この改正によって、印鑑登録者識別カードによる申請に基づいて、印鑑登録証明書の自動交付ができるようになった。
印鑑登録証明書の自動交付は、住民票の写し等の自動交付と概ね同様の方法により行うことができる。
自治省の調査(平成8年10月現在)によると、住民票の写し等の自動交付システムは、平成3年10月に伊丹市において初めて導入され、現在71団体に導入されている。また、印鑑登録証明書の自動交付システムは、平成6年4月に羽曳野市において初めて導入され、現在63団体に導入されている。